社宅へ入ったのじゃが、社宅じゃない?いや、訳分からん!
応接間へ案内され席へと。
ほどなく茶菓子が、メイドさんに運ばれて来た。
いや、結構な高級菓子やど、これ。
茶は紅茶か。
フレーバーティーなのか、華やかな香りが。
実はココ、喫茶店だったり?
「さて、席に着かれ多少は落ち着かれましたかな?」
「うーん。
正直、まだ混乱していますね。
森だと思っていたら、個人の敷地内だ。
しかも、屋敷が森の中に存在するわ。
おまけに、ここが、私に貸し与えられる社宅だとか?
意味分かりませんが?」
意味分からんし、困惑しとりますよ、ええ。
「ここは、大若葉 秀李様の御自宅でございます。
多羅様は、秀李様の後継者として扱われることに決まりましたので、この屋敷を譲渡することにですな。
ただ、譲渡すると国からの介入などが入る場合もありますし、税金もバカになりません。
ゆえに会社名義とし、社宅として貸し出す形となります。
まぁ、過ごされる方は多羅様となりますが、屋形の維持管理および多羅様のお世話掛かりとして、我々と他に数人ほど常駐いたします」
いや、益々、訳分からんわいっ!
「いやいやいやっ!
大若葉さんって、シュウさんのことですよね?
死んだと聞いていましたが、実は生きているらしいじゃないですか。
帰って来た時に自宅がないと困りますよね!」
知り合いの自宅を乗っ取る気なんぞ、無いからのっ!
「それに、後継者って、なんです?
なんの後継なのか、訳が分からないのですが?」
意味不明過ぎるだろっ!
「まず、秀李様について、お伝えした方が良いですな」
ん?
アマチュア発明家じゃったか?
「秀李様は、この世界の方ではございません」
はい?
不思議なことを言い始めたんじゃが?
「我々の世界でメジャーな言い方となりますと、異世界人ですかな?
あ、秀李様以外の者は、この世界の者となりますよ」
はい?
異世界人?
いや、ファンタジーかっ!
「はい?
いや、訳が?
百万歩譲って、シュウさんが異世界人じゃとしてじゃ、どがぁして、この世界へ?
理由が見えんのじゃが?」
「幻想機を扱える方を探すためだそうですな」
はあ?
どう言う意味じゃ?
「いや、そがぁなことして、どうするんじゃね?
っと、思わず素がでてしまっておりましたな、失礼」
方言丸出しじゃったわい。
「いえいえ、此処は多羅様の御自宅でございます。
お気楽に、お過ごしくださいませ。
さて、幻想機を扱える方を探す理由ですか。
それなのですが、秀李様の世界で扱われるエネルギー資源の問題とか。
詳しくは理解できませんので、私が解釈した内容となります。
それで宜しければ」
まぁ、聞かんことにはのぅ。
「それで良いですよ。
聞かせてくだされ」
「畏まりました。
幻想機と呼ばれる品は、秀李様の世界で造られた品なのだとか。
目的は、次元からエネルギーを汲み上げるため、らしいです。
いや、私には全く理解ができませんで。
その汲み上げたエネルギーが、秀李様の世界へ送られているそうでしてな。
ただ、幻想機を動かすには、幻想機へ適合した者が必要となります。
特に、同調率が高い者は滅多に現れないそうでして。
しかも、幻想機が稼働し易い場所と言うのがありましてな。
それが日本らしいのです。
他国も試したらしいですが、中々に難しいのだとか。
まぁ、聞いた話しでございますが」
はぁ、うむ、訳分からん。
「あー
その、なんじゃぁ。
そのな、全く、訳が分からんのじゃが?」
「私めも、同様にございます。
ただ、この世界の日本が、幻想機を稼働させるのに適しており、そのため秀李様が派遣されていた、らしいですな。
しかも何代にも渡り、とか。
ゆえに、この地へ活動拠点を設け、幻想機を稼働させる環境を構築したそうです。
我々使用人は、代々、大若葉家へ使えてきた者となります。
で、党首となられる方々は皆、故郷へ帰りたがっておられましてな。
まぁ、我々とは違う種族であり、子を成すことは、此方では不可能なため、家族も居られませんでしたし」
ん?
「なら、この地へ、家族で来たら良かったのでは?」
「はははっ。
どうやら、アチラから見た此方は、原始的な世界らしいですぞ。
仕事で無ければ、来るのは御免らしいですな」
マジかぁっ!




