あーダリルさん、人外さん?
っか、3歳の子供に獲物を狩れるのか?
絶対に無理だと思うのだが?
『ダリル殿は人造種の子孫であり、複数の人造種遺伝子が混ざり合ったハイブリッド種でもあります。
当時は複数の国々が対立しており、様々な兵器が開発され使用されておりました。
ただ、過去の文明が何度か、行き過ぎた兵器にて壊滅した歴史があり、大量破壊兵器の使用はタブー視されていた時代でもあります。
そのため、人造生物を使用した争いへと推移した訳です。
そんな中、制御し易くするため、知能を持つ個体が優遇されるようになり、人造種も、その流れで産まれております。
だが、戦に飽いだ者達が軍を脱走する事件が続出することなり、その中には人造種も含まれておりました。
そんな者達が寄り集まる隠れ里へは、様々な国の人造種が集まり、混合種が産まれたそうです。
そんな里を良く思わない連合軍に強襲され、里は滅んでおりますが、逃げ延びた者達もおります。
ダリル殿は、そんな混合種の子孫であり、能力的に優れております。
マスターの世界なら化け物と呼ばれるレベルでしょう』
いや、なんてぇ世界だよ。
ファンタジーかと思ったら、SFか?
『文明は既に壊滅しており、文化的には中世あたりまで後退しております。
混合種を攻め滅ぼせると甘く見た人々の文明を、叛逆した混合種たちが、攻め滅ぼした形になりますね。
まぁ、その戦いで、大半の混合種が身罷り、血を受け継いだ者は限られますが』
ダリルさんが、3歳で狩りが出来た理由は分かったが、まさに化け物だな。
『彼は偶々、先祖返り的に力が顕現しておりますが、他の兄弟たちはしておりません。
ある種の奇跡でしょう』
へー、なるほどねぇ。
っか、アドバイザーさんの話しを聞いている間に、ダリルさん達の話しは済んでたようだ。
荷物を纏めて撤収をね。
っか、凄い荷物だな、をい。
「お前さぁ、毎日回収しに来てんのに、なんなんだ、この荷物は?
おかしくね?」
そうレテラが愚痴るとな。
「誰のせいだと思っとるのだ?
荷が有るのに、帰る途中で獲を狩っとるだろ、アンタ」
「そらぁ、俺も狩人だからなぁ」
「だから、この近くで狩るなっ!っと、何度も言っておるのだが?
理解できて無いようだな」
「いや、多少は離れていたハズだが?」
いや、ダリルさん?
何気にイライラしてません?
「その考え無しは、なんとかならんのか?
里長から、なるべく口を出すな、っと言われておったのだがな。
ふぅ。
撤収するから告げるが、アンタが獲物を狩った血に、獣が引き寄せられてる訳だ」
「ああ、血抜きのせいか」
「アンタさぁ、血を地面に垂れ流しただろ?
穴を掘って、その中へ流し埋めるのはマナーだぞ。
もしくは、川に沈めて水流にて血を流すとかな」
そう告げると、レテラが眉を顰めてな。
「穴を掘るのは手間だし、水に浸けての血抜きは、適切な処置をしないと、冷えた肉から血が抜け難いだろ。
手間なんだよなぁ」
そんなことをな。
したらダリルさんが呆れたようにさ。
「あのなぁ。
人が潜んで常駐している付近で、面倒だからと、そんなことをせんでくれるか?
血に引き寄せられた獣が現れると、当然、付近の獲物も逃げ惑う訳だ。
そうなれば、コチラへも流れて来る。
普段と様相が変われば、当然のことだが刃鹿も警戒するからな。
だから、普段と変わらんレベルまで狩って、辺りを終息させとる訳だ。
だが、昨日はヤケに来る獲物が多かったんだが、アンタ、なに狩ったんだ?」
困惑気味にな。
「おう!
昨日はキャルカが出てなぁ」
「待て、まさか、狩ったのか?」
「当然だろ。
キャルカだぞ」
ん?
キャルカ?
『ジャコウイタチみたいな存在です。
斃すと、身から芳しい香りが漂い、その毛皮が持て囃される生き物ですね。
コチラは、ソレように品種改良された品種が逃げ出し野生化したモノとなります』
へー、そんな生き物なんだね。
「バカか、キサマは?
そんな獲物を狩るから匂いが充満したんだ。
ヤケに獲物が現れると思ったが、キサマが原因かっ!」
あー、ダリルさん、激昂っす。