イキナリ昔語りですか、さいですか。
「はい?
そんな話しは聞いたこと無いのだが?」
そうレテラが告げるとダリルさんがな、顎へ手を遣りつつ。
「ふむ。
アンタは、まだ中層の浅い場所しか行けてないな?」っと。
したら困惑したようにな。
「そらぁ、そうだろ。
浅層の浅い場所でも危険なんだからな。
中層へ至れば一人前あつかいだ。
だから深く分け入る者は一部だからな」
「まぁ、そうか。
俺は師匠に扱かれて、深層まで行ってたからなぁ。
深層付近まで至る者には、刃鹿の役割などが教えられるんだよ。
そこまで行ける狩人ならば、刃鹿の群れを壊滅させれるのでな。
下手に壊滅されては、困る訳だ。
深層は密林地帯であり、素材の宝庫だ。
だが、危険度も跳ね上がる。
そんな深層を抱える森林は豊かであり、人を惹き付ける場所なんだが、当然、住まうには危険な場所だ。
だが、刃鹿が住まう地なれば、刃鹿が天然のバリケードとなり、人が住まうことが可能な地となる。
ゆえに、刃鹿の群れが居付く場所へ里が築かれる訳だな。
つまり、刃鹿の群れを淘汰すれば、里も同時に淘汰される訳だ。
この話しを聞いた後でも、刃鹿の群れを討伐したいかね?」
ダリルさんに尋ねられ、レテラが怯むようにな。
「い、いや。
流石に遠慮しとく。
っか、お前、深層組だったんだなぁ」
関心したようにな。
「いや、着いて行ったに過ぎん。
流石に狩ってはおらんぞ。
アソコは、流石に恐ろしい。
気を抜けば悟られ狩られるからな。
俺は気配を消し、辺りを探るのに精一杯だったよ。
そんな中で、普通に狩りをしていた師匠は化け物だな。
あの師匠が病で倒れるなんぞ、考えたこともなかったよ」
そう、しみじみと。
「あー、16で里立ちの儀式を終えたのに、お前が里を出なかった理由だもんなぁ。
っか、ガウランドさんって、70を超えてたんだろ?」
「いや、80は超えてたハズだ」
「いやいやいやっ!
その歳まで深層通いって、化け物やん。
そんなガウランドさんに師事して、良く無事だったよな」
感心したように告げるとるが、感心するとこか、そこ?
「帰る場所が無かったからな。
ウチの親は考え無しだからな。
俺が18人目の子供だ。
病や怪我、事故で9人死んでいるが、それでも子沢山過ぎるわっ!
だからウチは貧乏だからなぁ。
ヒモジイから自分で食い物を漁って森歩きをしておったら、ガウ爺に見初められた訳だ。
たまたま野うさぎを、手製の投げ槍機で獲ったとこを知られてな。
親に500ラウンで売られた訳だ」
レテラが、うわぁ、っう顔に。
えーっと、500ラウン?
あ、500円相当?
はぁ?
自分の子供を500円で売ったのかよっ!
「お前、それさぁ、何歳の時よ」
ドン引きしつつレテラがな。
「ん?
3歳の頃だったハズだ。
当時は食うものが無く、ガリガリだったからなぁ。
ヒモジイから、必死で食い物を探したもんだよ」
いや、子沢山で貧乏だからと言って、酷過ぎないか?
「まぁ、下級農民だったからなぁ、ウチの親。
得られる収入なんぞ知れていた訳だ。
で、娯楽は限られるから、子供が増える。
それで働ける子供を優遇して育たなかったらな。
そのウチ、俺も死んでたんだろう。
ある意味、ガウ爺には助けられたとも言える。
言えるが、修行はクソだったがなっ!
何度、死ぬかと思わされたか。
まぁ、食わせてくれたし、育ててくれたんだがな。
立派なクソ爺だったぜ!」
あー、そのな。
このクールなダリルさんが激昂するって・・・
一体、なにしたんだガウランドさんって?
「あー、まぁ、ガウランドさん、だからなぁ。
厳格で厳しく、頑固。
融通が効かずに要求が厳しいからなぁ。
ガウランドさんと組んでの仕事は、誰もしたがらなかったからなぁ。
お前がガウランドさんと一緒に仕事しだして、皆がホッとしたもんだよ。
まぁ、腕は確かだったんだがなぁ」
「まぁ、腕前はなぁ」って、ため息を。
いや、どんな方だったんだ?
ガウランドさんって?