放術適合者が目白押し!なら、晶石を手に入れねば!
火晶石を操ったダリルさんは、まんざらでも無いようだ。
そんなダリルさんを見た他の放術適合者達が、ちと不満そうだな。
まぁ、放術へ適合したのに晶石が無いため、放術を操ることが出来ぬではなぁ。
で、そんな彼らの不満に気付いたパルマさんがな。
「ちょうど水場ですから水晶石を探しましょう。
火晶石は手に入り難い品ですが、水晶石は案外手に入るんですよ。
まぁ、品質が良い品となると難しいですけど。
たまに風晶石も見付かりますしね。
ま、1番見付かるのは雷晶石なんですけど、アレって扱い難いので要注意です」
そんな説明をな。
そんなパルマさんへダリルさんがな。
「つまり火晶石は珍しいと?
まぁ、狩りへ使えるかは微妙だがな。
素材が痛んでしまうだろう。
使い方次第だとは思うがな。
それはそうと、パルマさんは火晶石以外の晶石は持っておらなんだのかね?」っと。
したらな。
「持っていましたよ。
賊に盗られましたけどね」
「ふむ。
その晶石で抵抗などは?」
したら呆れたようにな。
「いや、水晶石で、どう抵抗しろと?
あれ、水が出るだけだし。
風晶石も有りましたけど、風が出るだけですよ?
焚き付け時に、火の勢いを増すために使いますけど。
とてもでは無いですが、戦いには使えませんね」
それを聞いて適合者達がガッカリっと。
そんな彼らとは違い、ダリルさんは晶石へ興味を抱いたようだ。
おもむろにリーダーへと。
「賊からの摂取物へ晶石が有れば頂いても?」っとな。
リーダーは苦虫を噛み潰したような顔で。
「それらは賊を討伐したオマエの所有物だ。
まだ買い取りしておらぬしな。
それに晶石など高価過ぎて買い取れぬ。
ゆえに持って行くと良い」
いや、渋々と未練がましく言われてもなぁ。
ほれ、ダリルさんも呆れておるではないか。
その後、ダリルさんは賊からの摂取物を調べ、複数の晶石をな。
「ほう。
水晶石と風晶石が、それぞれ複数か。
雷晶石も数個あると。
しかし、炎虎火晶石に比べると、えらい小さいな」
うん、ビー玉サイズかな?
炎虎から得た火晶石が拳大であることを考えると、かなり小さいかも。
したらパルマさんがな。
「市場へ出回っているのは、そんな物よ。
それでも一個30バルクは下らないわ」
なぬぅ!
30万以上じゃと!
皆がビックリしておる。
「まぁ、買ったら、ね。
それは、私が集めたヤツだから。
水場へ行った時に、落ちてないか探すの。
晶石って、生き物の体内に作られるらしいから、死んだ生き物から晶石が出て来て、水場の澱みなどに溜まる場合があるのよ。
放術師なら、なんとなく晶石を感じられるから、水場を探してみると良いわ。
まぁ、たまにしか見付からないけどね」
そう告げるパルマさんへな。
「もしかして、これかい?」っと、サーマさんが。
「そうそう、これこれ。
コレが水晶石よ。
!?
ちょっと待って!
これ、どこから出したの?」
慌てて告げる。
「いや、アンタが水場の澱みに有る、って言うからさ。
ちょっと探したら出て来たんだけど?」
そう告げ、ジャラリと晶石を。
「!??!!?
いやぁ!?ちょっと待ってぇ!
おかしいからぁ!
絶対、おかしいからねっ!」
「いや、おかしい、って言われてもねぇ。
そこの小川へ、ジャラジャラ有ったしさ」
サーマさんが困ったように。
それを聞いたダリルさんがな。
「ふむ?
ココは浅層からも離れておるとは言え、そこそこ強い獣が出る。
植生も浅層寄りだな。
もし木々も晶石を宿すなら、浅層に近いほど晶石が見付かる?
なれば、中層や深層なれば、品質が良い晶石が得られるのか?」
ダリルさんが、そのような考察を。
『たぶん、それ、合っていますね。
晶獣になる獣や晶樹になる植物なども、古代文明の手が入っている可能性があります。
晶粒子自体が、おそらくは古代文明が創り出した代物だと推測できますから、古代文明の影響を色濃く残す深層へ近付くと、それだけ品質の良い晶石を得られるかと』
ほへぇ。
そんなんなってる訳?
ファンタジーな代物だと思った晶石は、実は科学文明の落とし子と?
うん、訳分からん!




