はい、放術師なんですか?なんで、捕まってんの?
その火晶石を見たリーダーがな。
「なっ!
火晶石など、何処で手に入れたのだ!」っと、ダリルさんを詰問。
したらダリルさんが冷たい声でな。
「何処でも構うまい?
なぜ、そんなことを問われられねば、ならぬ?」っと。
「ぐっ!
た、確かに、そうなのだが・・・
ココらでは手に入り難い晶石を、どのようにして手に入れたのか、つい気になって」
萎れたような感じで。
うーむ。
人を纏める力量はあるようだが、ちょっと考えが足らないのでは?
由緒正しい脳筋っう感じなのか?
したらダリルさんが呆れたようにな。
「ふぅ。
仕方ない方だな。
先に言っておくが、正当な権利にて手に入れた品だ。
苦情は受け付けぬからな」
「わ、分かった」
「うむ、言質はとったぞ。
この火晶石は、この度、討伐した炎虎から得た品だ。
他の狩人から俺が討伐したゆえ得る権利をな」
「はぁ?
おまえ一人で倒した訳ではあるまい!」っと。
そんなリーダーへ、討伐へ参加していた狩人が。
「倒したんだよ、一人でな。
ってぇか、ダリルに救われてっから、俺達。
討伐へ赴いた者の総意だ。
文句は言わさんぞ!」
周りの狩人からギロリと睨まれ沈黙。
うーん、こりゃ、納得しとらんな。
だが、里から出るダリルさんへのチョッカイは禁止されているから、絡むことはできないだろうな。
まぁ、そんな悶着がありはしたが、炎虎の火晶石はパルマさんへと貸し出されることに。
そして、受け取ったパルマさんなんだがな。
「へー
結構、質が良いんだね。
じゃ、ちょっと使わせて貰うよ」
そう告げて、火晶石から炎を。
うや、パルマさんは、放術師だっのか?
炎に炙られた鍋の水が、みるみる内に沸き立つ。
「ほぅ、見事なものだ。
だが、その力が有るなら、何故、賊に?」
狩人の一人が不思議そうに。
「おそらく、晶石を持っておらなんだのであろう。
晶石は、容易く手に入る代物では無いゆえ」
そうダリルさんがな。
パルマさんは、それを聞きながら乾麺を茹でている。
で、茹でながら。
「そう言うことさね。
放術師は晶石が無いと、なんの力も無いからねぇ。
私の国では放術師が、そこそこ居るんだよ。
国王様が放術師を増やすように、仰ってねぇ。
放術師てぇのは、大概が旅から旅へと流れ暮らす者達さね。
まぁ、晶石を求めて探し歩いてる、って聞くね。
最近では晶石が生産?されているそうだから、昔ほどでは無いんだけどさ。
そんな放術師さん達は、旅先で見付けた放術の才能を持つ者を探し、放術師にする義務があるんだと。
私も町へ来た放術師さんに才能を見出されてねぇ。
とりあえずは、放術が使えるようにはなったんだよ?
けどねぇ。
私は戦い、ってヤツの才能が、空っきしでねぇ。
放術の師匠が匙を投げちまったよ。
まぁ、お陰で町娘として過ごせたんだけどさ。
っと、スープへ入れるなら、この位かね?」
そう言うと、パルマさんは麺を鍋から引き揚げる。
本来ならば麺を茹でた湯を捨て、新たに水を張るべきだろう。
だが、無駄な労力を嫌ったのか、その湯へと食材を。
「あらら、この侭で煮るのかい?」
「本来なら分けたいとこだけどねぇ。
けど、旅先だから、この大きさの鍋は、これだけさね。
新たに湯を沸かすなら、これを使うわさ」
「まぁ、良いけどさ。
っと、えらい灰汁が出るねぇ?」
「確かに?
どうなってんだい?」
あれって、そんなに灰汁の出る野菜だったか?
確かに根菜だから灰汁は出易いだろうが?
『あの乾麺の煮汁が、灰汁を出易くしているみたいです。
マスターの世界には無い技法のようですね。
まぁ、このような効果が、マスターの世界で得られるとは、思いませんが』
あー
ある意味、ファンタジーな調理技法な訳やね。
「なんか、早く野菜が煮えてないかい?」
「そう見えますね」
「じゃ、肉を入れるかね」
そう告げてサーマさんが肉を。
ブワァっと広がる灰汁!
「なっ!
どうなってんさね!」
サーマさんが驚くが、まぁ、仕方ないわなぁ。




