異世界の女性は逞しい!え?生きるのに必死なだけ?済んまそーん。
この世界にも麺が存在するらしい。
まぁ、里人が知らないためメジャーではないのか、この辺りには普及していないのだろう。
「私の国で食べられている料理なんだ。
旦那と結婚して、コッチへ来たんだけどねぇ。
旦那は奴らに殺されちゃったからさぁ。
で、麺なんだけど、賊が奪った物資に長い棒状のが束ねてある品が無かったかい?
それ、麺を乾燥させたヤツでね。
そいつを茹でるんだよ。
それを里へ持ち込んで、受け入れられるか見る話しだったんだけどねぇ。
まさか行商キャラバンが襲撃されるとはねぇ」
困ったように。
ふーむ、他の女性達は立ち直っていないが、逞しいな。
「アンタさぁ、逞しいねぇ。
もう立ち直ったのかい?」
あ、サーマさんも、そう思ったんだね。
「立ち直れるハズないだろ!
けど、生きて行かなきゃならないんだよっ!
特に私は、この国の者じゃないからねぇ。
野良犬に噛まれたからって、泣いてばかりじゃ生きて行けないのさね。
それにアナタ達が食べて好まれるなら、麺を売り物に生きて行けるかも、しれないじゃないかね。
私は麺職人の娘だったからね。
麺を作るのは、お手のものなんだよ」
うわぁ、逞しい!
っか、ある意味、痛々しいなぁ。
なんとかならんのかね?
『厳しいでしょうね。
結婚して国を出るなどと言うことは、余程のことが無ければありえません。
そう考えると、国許からの支援は厳しいのでしょう。
ならば、ゼロから自分でノシ上がるしかありません。
まぁ、結婚していたことから、身元は保証されるでしょう。
何も無いよりはマシでしょうが、元手がないのが痛いですね』
俺達の世界でも、生活基盤がないのにゼロスタートは無謀だ。
下手な所から資金提供など受けでもしたら、泥沼だろうしなぁ。
「はーっ、凄い娘だねぇ。
で、元手は無いんだろ?
どうすんだい?」
サーマさんが、感心したように。
「麺を卸していた飯屋があるからさ、そこで暫くは働くつもりだよ。
で、なんとか金貯めてから麺屋を開いたいとこだね」
そんな野望まで持っとるのか。
凄い女子じゃて。
「面白いねぇ。
アンタ、その麺料理を作りな!
美味けりゃぁ、里で支援するように里長へ働き掛けてやるさね。
採用されりゃぁ、里で麺屋てぇのをすりゃぁ良いよ。
その麺を町まで売りに行くようにすりゃぁ、里の産業も増えるてぇもんさね」
「いや、サーマさん?
流石に勝手に決めるのは、どうかと?」
リーダーが慌てて諌める。
だが。
「ふん!
言われたことしかしないアンタに、とやかく言われる筋合いはないさね」っと。
「なっ!
どう言う意味かね!!」
リーダーがムッとしながらな。
「言った通りさね。
アタイと旦那は、里の産業になりそうなモノがあれば、取り入れる権限を里長から貰ってんだよ。
アンタにも以前に頼んだらしいよねぇ?
進展ない、ってことじゃないさね。
埒が開かないから、アタイらも頼まれたんだよ。
現に面白そうな話しが出たのに、無反応じゃないさね。
文句を言われる筋合いはないよっ!」
うーむぅ、リーダー殿はタジタジじゃな。
しかし、海の物とも、山の物とも、つかぬ代物じゃ。
安易に取り込まず、様子を見るのも分かるのじゃが?
『ですからサーマさんは、試してから判断すると告げられておりますよ?
まぁ、動かねば、何も進展しないでしょうし』
まぁ、確かにのぅ。
それからは早かった。
押収品から乾麺を探し出し、それを、たっぷりの湯で湯がく。
ただ、水は近くに沢があり、水が溜まる淵も在ったことから確保はできたのじゃがな。
この湯を沸かすに使用する薪の量がバカにならんでのぅ。
乾いた枝も大量となれば、集めるのもことじゃて。
だが、その問題も件の娘、パルマが解決をのぅ。
彼女がリーダーへ火晶石が無いかをの。
それを聞いたダリルさんが。
「それなら、この火晶石は、どうかね?」っと。
先程討伐した火虎から得た火晶石じゃな。
ダリルが討伐したとし、彼扱いとなった品じゃて。
それをパルマへと。
頓着せぬにも程があるわい!




