無事に女性達を保護できたみたいですよ?
特に獣から襲われることもなく、ダリルさんは輸送隊本体へと辿り着いた。
ダリルさんからしたら、同行している輸送隊へと帰っただけだが、彼らからしたら女性達を乗せた荷車を牽いて現れた訳だ。
そらぁ、ビックリするわな。
「ダリル?
その女性達は?」
そう尋ねられて、ダリルさんが応じる。
「ああ、あのゴミ屑どもに捕えられていた。
放置もできんのでな。
それに女人のことは、俺には分からん。
サーマさんが同行しておるゆえ、頼めるかとな」
ダリルさんが告げると、輸送隊から女性が。
「アタイかい?
ふむ、酷い扱いを受けたようだね。
ん?
ターニャちゃん?
ターニャちゃんじゃないかね!」
「知り合いか?」
「何を言ってんのかねぇ、この子は。
行商人の娘さんじゃないかね。
里へも何度か来てたのに、知らな、かったんだねぇ。
アンタらしい」
呆れたように告げられ、困惑顔のダリルさん。
「いや、行商から買うような物は、俺には無かったのでな。
大概の物は自分で調達したり造っていたしなぁ。
狩人ならば、己が物は己で、だ」
そうダリルさんが告げると、サーマさんが呆れたようにな。
「例のガウランドの口癖だね。
確かに自分で調達できた方が良いんだろうけどさぁ、普通は店舗で購入するもんさね。
アンタらみたいなのは、今時は稀だよ」
困ったように。
「そうは言われてもなぁ。
幼い頃から色々と仕込まれたゆえ、大概の物は自分で調達可能だ。
昔から里の職人衆より仕込まれたお陰で、色々と自作できるのでな、わざわざ行商から買う気にもならん」
ダリルさんが、淡々と告げると。
「そんなん、アンタどガウランドくらいのモンさね!
規格外過ぎるだろっ!」
そう突っ込まれてんな。
うん。
俺も同意だわ。
「お、おぅ。
そんなものか?
まぁ、良い。
ゴミ屑は処分したが、後始末が残っておる。
アレらに襲われた被害者だが、おそらくは埋めずに放置したと思われるのだ」
「いや、そんなことをしたら、肉食獣が人肉の味を覚えてしまうが?
流石に狩人が、そのようなことは?」
リーダーが戸惑って告げると。
「ゴミ屑の頭らしきヤツが、行商人へ商隊員として同行させよ、っと暴行しておった。
商隊の者は、派遣時に台帳記載されておる。
つまり、潜り込んでも町の検問にてバレるだろう。
そのように説明しておったが、説明されても理解できずに暴行しておったぞ。
それが率いる賊だ。
狩人の常識を理解できているかは怪しい。
それにアジト周辺へ、獣が行き交った形跡もあったのでな。
獣が嫌う植物が生えている場所にも関わらずに、だ。
明らかに異常だ。
ゆえに、彼女たちの保護を優先せざるをえなかった。
どのような獣が潜んでいるか分からぬが、早々に狩った方が良いだろうな」
そう告げられ、リーダーがダリルさんへな。
「ふむ。
そのアジトは街道から、さほど離れていないのか?」っと。
「獣のテリトリーがアジト付近だとしたら、ココらも十分テリトリー内だろう。
この先に宿営地も在ったハズだな?
だとしたら、夜間は襲われる危険性もある」
ふむ。
これ、放置したらヤバいヤツでは?
『まぁ、そうでしょうね。
流石に情報が得られておりませんが、ダリル殿が危険視していることを考えるに、何か知れているのでは?』
はい?
あの短時間で?
まさかね。
そう思っていたんだがな。
「先程、獣が行き交った形跡と告げたが、アレから推測するに、結構な大型獣だと思われる。
クマかトラなどの類だろう。
浅層では強い部類だが、普通はココら辺には現れん種類だ。
おそらくだが、浅層周辺での餌不足にて、コチラへ流れて来た可能もな。
この辺りで活動する狩人では、手に負えんだろう」
いや、そこまで特定できてんのかよっ!
っか、そんな形跡って有ったのか?
俺には分からんかったが?
『正直、何を根拠にされているのか、全く検討が付きません』
アドバイザーさんにも分からないのかよ!
マジかぁ!




