ビデオを観終わったでな、いよいよ木工体験じゃぞい!
ビデオを観ちょったら、トンデモないことになったが、まぁ、害はなかろう。
無いよな?
で、準備が整ったちゅうことで、木工体験をの。
棚へ木材が納められちょってな、この中から好きなのを選んでから、木工をの。
まぁ、選んぶ木材には値段が記されちょるでな。
木工体験費用とは別料金みたいじゃて。
上手い商売と言うか、なんと言うか。
ま、儂は完全に素人じゃでな。
木工体験するだけじゃけぇ、高い品は要らん。
じゃがな。
微電流を流しながら確認するとじゃ、安うても良い品質の木材がのぅ。
そがぁに大きゅうのうて良いで。
で、拳大の角材を選んでみたぞい。
「ほぅ。
ソレを選ばれますか?」
「うむ。
なんや知らんが、目が詰まちょるし、見た目より重いでな。
硬そうじゃが、良い木材ではないか、っとのぅ。
大きさの割には高いが、他のヤツより安いようじゃし、体験するなれば、難しいくらいが面白かろうとな」
多分じゃが、カナリ硬い木じゃないかとの。
じゃが、彫るには適しちょると思うぞい。
「槐ですね。
それ、硬くて斬るの大変なんですけど、彫るには適していますよ。
端材扱いで、普通より安いので良い選択かも。
ただ、初めて木工される方には、難易度が高いかもしれませんね」
そがぉ風にの。
初心者には扱い難い品らしいが、まぁ、体験なんじゃけぇ試すのも悪ぅならかろうて。
「体験ですからのぅ。
そがぁな木を扱うのも体験じゃで。
じゃが、複雑な造形は無理かのぅ」
思案しながら告げるとの。
「柔らかい木でも、複雑な造形をイキナリは無理ですよ」
苦笑いされてしもうたわい。
まぉ、ほうじゃろうなぁ。
「出来たらモビルス○ツなんぞを、彫ってみたかったんじゃがのぅ」
「ああ、良く皆さんが挑戦して失敗するヤツですね。
展示品を見られて、と言うより、ビデオを観て挑戦したくなるんですよ。
まぁ、あんな難易度の品、中堅職人でも難しいですし。
実際、中堅処の職人が、趣味っと言うか腕試し的に彫っていますから。
展示品の大半はベテラン勢が造った品ですね。
中堅職人が造った物も有りますが、展示に耐える品質の物は少ないですから」
なんとのぅ。
それほどの難易度じゃったかぇ。
「あまり複雑な形状は、避けた方がよろしいかと。
コチラに図案が有りますので、ご参考になさって下さい」
ほぅほぅ。
どれどれ。
どがぁなんが、有るんじゃろか?
ん?
「い、いや。
流石に球体や四角、三角は、のぅ。
練習にはエえんじゃろうが、体験するには面白味に欠けるわい」
そう告げるとの。
「まぁ、そうでしょうね。
皆さんに不評ですから」
なら出すなや、ホンマに。
「ですが、見習いや新人は、その図案に載った形から始めますから。
それに、ソノ形を正確に彫るのは、結構大変なんですよ」
ふむ。
そうなんじゃのぅ。
そう言われれば、あまり複雑なのは避けるべきか。
ん?
猫が丸まって寝ちょる図案かえ?
尻尾は胴体に引っ付き、耳も伏せておる。
髭は顔に彫り込む感じじゃ。
凹凸が少ないため、難易度は低いじゃろう。
これなんぞ、どうじゃろか?
儂が、その図案を選ぶとの。
「ほぅ。
それを選びなさるか」っと、声がの。
まぁ、誰かがコチラへ近付いて来ちょるのには気付いておったでな。
声を掛けられても驚きはせなんだのじゃが。
「ええっと。
失礼ですが、貴方はビデオに映っておられた?」
「木工体験に、よう来なすった。
儂は松永 永吉と申します。
仰られたように、ビデオに出ておった者ですわい」
やはり、っか、人間国宝じゃねぇかっ!
「な、なんで貴方が、ココに!?」
「ん?
所用で東京へ来たでな。
だから儂も支援しとるココへ、顔を出したのだよ。
ふむ、ついでだから、儂が相手してしんぜよう」
いや、木工体験に、人間国宝が立ち会う、じゃ、とぉ!
スタッフさん達や、苦笑いしちょらんで、なんとかしてくださらんかえっ!




