屋敷に帰ったようじゃてな。っか、お嬢さん方、はしたないぞぇ。
屋敷の敷地内へ入ると、ファマル嬢とガンレート嬢は大の字に寝転んでしまいおったわい。
年頃の娘さんが、端ないのぅ。
『限界でしたのでしょう。
仕方ないかと』
まぁ、そうなのじゃがな。
下履きとして、ズボンなんぞを履いておれば、のぅ。
裾の短い革の貫頭衣じゃでなぁ。
大股を広げて寝転べば、下履きなんぞもな。
まぁ、幸いなことに、男性陣がハゲルさんとダリルさんじゃてな。
いや、ハゲルさんはロゼッタ嬢が居るし、まだ分かる。
しかしダリルさんが全く興味を持たんのは、ちと問題では?
『マスター?
何故、問題なのでしょう?』
男性が、その気にならねば子は産まれんからのぅ。
ダリルさんが子孫を残さぬ気なれば、問題ないが。
『確かダリルさんは、十八歳なのでしたね。
雰囲気と身振りからは、そう思えませんが。
ですが、十八なのでしたら、枯れていますね。
見た目からしたら違和感が無いのですが』
沙織さんや。
なかなかに辛辣な意見じゃな。
『おそらくですが、人造種として魅力を感じないのでしょう。
ガンレート嬢は論外ですが、ファマル嬢には多少ですが反応しているよう、見受けられますが』
ほっ!
そうなのかえ?
ダリルさんは、歳上が好みなのかや?
『ソレは、どうでしょう。
まぁ、人造種でダリルさんに近い年頃となれば、ファマル嬢とカリンさんだけですし』
なるほどのぅ。
流石にカリンちゃんは対象外じゃろうて。
そうなれば、ファマル嬢にしか興味は向かぬであろう。
とは言え、全く興味があるようには、見えんがな。
で、荷を黙々と荷車から屋敷の倉庫へと。
っか、ロゼッタ嬢が、ボルゾックの毛に反応しちょるわい。
「コレがボルゾ糸になる毛かい!
凄いねぇ。
コレ、売っちゃぁくれないかい」
興奮したようにな。
それへダリルさんがの。
「コレは紡いでおらん。
ゆえに売り物にはならんな。
なので、紡いだ後なれば売ってもかまわんが?」
そがぁなことをの。
したらな。
「はぁ?
紡ぐって、アンタ道具は?」
そうロゼッタ嬢がの。
それに対し、ダリルさんが。
「ふむ?
このオモリが有れば良いが?」っと、不思議そうに。
いや、意味が分からんのじゃが?
皆も首を捻っておるの。
「先ずは毛を洗う必要があるが、その後で毛を何本か束ね、先端へコノお守りを付けてから、捻るように投げる。
要は捻りながら撚り合わせる訳だな。
で、途中で毛を継ぎ足し、捻れにて繋げる。
このようにして、糸にして行く訳だ」
平然と告げるダリルさんにのう。
「そんな無茶苦茶な紡ぎ方なんて、できるハズがないわさ!
なに、アホなこと、言ってんのさね!」
ロゼッタ嬢がお冠ですな。
「いや、昔から、コノ紡ぎ方で、ボルゾ糸を作っておるぞ。
里では普通なのだが?」
ロゼッタ嬢が不服そうにしちょるのが、訳が分からんちゅう感じじゃて。
まぁ、アノ説明では、儂も全く理解できておらんがの。
「明日には紡ぐゆえ、明日には理解できよう。
そう言うことなので、今は荷下ろしに専念してくれぬか?」
ダリルさんが、そう告げ、皆で荷下ろしを再開しちょったの。
まぁ、夕方近いでな。
ダリルさんは、コレから夕食の支度じゃろうから、ゆっくりできんのじゃろうて。
それを悟ったのか、その後はスムーズに荷下ろししをの。
全てを下ろした後、ダリルさんは割り当てられた客室へと。
部屋へ戻り、背嚢から使う物を取り出した後、鎧を脱いでおる。
流石に鎧を脱ぐと楽になるのか、ホッとした顔にな。
ラフな私服に着替えると、直ぐに素材を持って厨房じゃ。
いやのぅ、その、なんじゃ。
以前よりも手際が良くなっておらぬか?
同時並行で、様々な調理をの。
儂なれば、複数工程を同時になんぞ出来んからのぅ。
ヤルことがコンガラがって、破綻する未来しか見えんわい。
時間が無いためか、スープと野菜炒めに焼飯じゃな。
まぁ、炒飯みたいに、飯がパラパラではないが、そがな技法はアチラには無いでな。
仕方あるまいてのぅ。




