カリンちゃんに、おやつかえ?ああ、成長に必要じゃから、仕方ないのぅ。
積荷からカリンちゃんの菓子を取り出し、彼女の口へと。
で、ロゼッタ嬢の手をジィィッっと見ておった子猫が、その手へ腕を伸ばすが、軽く避けられる。
「みゅん!」
不満気に鳴いておるな。
「コレはカリンのための物さね。
ソレに、アンタに食わして良いか分かんないからねぇ」
そうロゼッタ嬢が困り顔で。
「ん?
ソレはマル芋湯にて灰汁抜きした物で作っとおる。
ゆえに、ソヤツに与えても害はあるまい。
まぁ、グルガムス自体が雑食で、人が食う物は食えるゆえ、問題なかろう」
ダリルさんが、そんなことをな。
「しかし、カリンのために作ったのではないのかい?」
ちと不満そうに。
それへダリルさんが呆れたようにの。
「ソレくらいの菓子なれば、幾らでも作れる。
荷台の袋へ入れておいたのは、皆が食べるのも有ったのだが?
もしや、食べておらぬのか?」
「はぁ?
アタイらのも、かい?」
「あのなぁ。
あの量を、カリン一人で食べ切れるハズがあるまい。
一応だが、疲労回復などの効果もある。
食べれるならば、皆も食べておけ」
そう告げておるのぅ。
『なんか、子供の体調を気にする、お母さんみたいですね』
ぶふぁっ!!
沙織さんや、笑わすでないわい。
しかし、ダリル母さんかえ?
クククククっ。
まぁ、アチラには聞こえておらぬが、知れたら大爆笑じゃったろうのぅ。
『録画映像ですので、アチラが知ることは有りませんが?』
まぁ、そうじゃがな。
アドバイザーさんや。
ソコを突っ込むのかや?
まぁ、良いわい。
で、結局、子猫もクッキーを貰ろうて、ご満悦じゃてな。
「クッキー食べてる子猫も可愛いですね」
シムエル嬢が、カリンちゃんと並びながら歩き、子猫を見ちょる。
いや、前を見て歩かねば、危ないと思うのじゃが?
っか、ん?
的確に、木や枝なんぞを避けながら歩いておるわい。
どうなっちょるんじゃ?
『カリンさんが、軽く誘導していますね。
シムエルさんは、気付いてないみたいですが』
ほう?
どがぁしてなら?
『簡単なことです。
周囲は微電流探索にて把握しております。
シムエルさんは、子猫に夢中ですから、子猫で釣るように誘導していますね』
なかなかに、高等テクニックじゃと思えるのじゃが?
『確かにそうですね。
周りの者は気付いて驚いていますから。
まぁ、カリンさん自身は、無意識に行っておりますが』
ふむ?
側から見ておると、シムエル嬢と一緒に、子猫に見入っちょるようにしか見えんがのぅ。
で、な。
「ええいっ!
カリンとシムエルは、荷台に乗ってしまいなっ!
日が暮れるからっ!」
うむ、とうとうロゼッタ嬢がキレよったわい。
で、有無を言わさず、二人を荷台へとの。
「ふむ。
なれば、俺が荷車を牽こう」
ダリルさんが、そがぁなことを言うて、荷車を。
いや、のぅ。
速い、速い。
で、馬車への負担が少ないルートを選んで走るけぇ、荷車や荷への負荷も少ないでな。
ガンレート嬢とファマル嬢が、ちと遅れ気味になると、ペースを落としたりの。
気配りも万全と言いたいが、ギリギリを狙い走らせちょるだけじゃな。
ある意味、悪魔の所業じゃて。
二人は息絶え絶えになっちょるわい。
じゃがな。
何事にも終わりがあるでなぁ。
「アンタ達。
もう家に着くからガンバんなっ!」
ロゼッタ嬢からのハッパがな。
「しかしよぉい。
帰るだけが、えれぇ良い鍛錬になったもんだねぇい」
息も乱さず、ハゲルさんがの。
いやアンタ、全く堪えておらんじゃろ?
二人はハゲルに何か言いたそうじゃが、息絶え絶えにて、とても、とても。
恨みがましい目で見ちょるわい。
いや、元凶はダリルさんじゃと思うんじゃがのぅ?
『深層狩人のダリルさんには、文句言えないでしょう。
それに、胃袋を鷲掴みにされておられますし』
あー
まぁ、アノ料理を食っちょったら、調理したダリルさんは別格扱いになろうてな。
まぁ、ハゲルさんは、黙って八つ当たりされちょってくれや。




