ダリルさんが、帰るみたいです。っか、普通に帰らんかぁっ!
なんとなく察せられたのじゃがな。
沙織さんがの。
『ご主人様。
申し訳ありませんが、意味が分からないのですが?』っとの。
まぁ、初めてのダリルさん映像視聴じゃてな。
ってもの、儂も憶測に過ぎんのじゃが。
『そうなのです?』
まぁ、のぅ。
つまり、竜種とは、恐竜みたいなモンじゃろう。
そん動きは、恐竜独特の動きになろうてな。
なれば、深層よりは弱い竜種にて、動きに慣れれば良かろうて。
この辺に居らんでも、南方へ行けば居るんじゃろ?
なれば、南方へ出向き、竜種の動きに慣れれば良い訳じゃ。
『なるほど。
有り得そうな話しですね』
『そうですね。
おそらくは、マスターが推測された通りでしょう。
ダリル殿は、深層探索を目指しているみたいですが、挑もうとはされておりません。
恐らくは、準備不足と、感じられておられるのでしょう。
まぁ、深層の竜種を知れば、挑もうと考えられる時点で異常なのですが』
そがぁに恐ろしい地、なのじゃ、なぁ。
なれば、ダリルさんが慎重になるのも、頷けるちゅうモンじゃてな。
『それは、そうとしてですね』
ん?
どがぁしたかいな?
『あの仔猫、可愛いですね』
ん?
仔猫?
何処に、そがぁなモン、居るんじゃ?
そがぁに思って、沙織さんが見ちょる方をの。
ダリルさんを見ちょるのぅ。
いや、ダリルさんの頭かえ?
いや、沙織さん?
言わんとしちょることは、分かる。
確かに、メンコイのぅ。
じゃが、アレはグルガムスの幼体じゃてな。
立派な猛獣じゃぞい。
とは言え、ちんまい体でダリルさんの頭にの。
なんか必死に、しがみ付いておる様は、中々に可愛ゆいもんじゃて。
『いや、アレは本気で、しがみ付いているものかと』
そうなのかや?
『マスター』
なんじゃ?
『我々は、映像で観ておりますが、仔グルガムスは実世界にて体験しております』
?
そうじゃの、それで?
『ダリル殿の走る速度は、新幹線より速いのですが?
あの速度で振り落とされ、無事に済むとは、思えません』
あ゛。
アレは、新幹線に乗車するんでのうて、まさに新幹線に乗っとる状態かえ?
『?
違いが分かりませんが?』
じゃから、のぅ。
新幹線の屋根へ外にて、へばり付いておる、そんな状態じゃな。
『え?
そんなの、風圧で吹き飛びますが?』
そこは、ほれ。
ダリルさんが、風晶石で制御しちょるわえ。
そうでなければ、それこそ仔グルガムスは吹き飛んでおるのぅ。
そう考えると、必死になるのも当たり前じゃてな。
とは言え、ダリルさんが、さりげなく風で支えておるゆえ、落ちることはあるまいて。
親グルガムスは気付いており、必死な我が子を、微笑ましそうにの。
いや、この高速移動中に、余裕じゃわい。
っか、このグルガムスちゅう生き物も大概じゃぞい。
ダリルさんの移動へ、楽々と着いて行っちょるからのぅ。
して、岩柱な飛び石を跳んで移動し、谷を越えて向こう側へと。
その侭、直ぐに山頂を走り去り、崖山の段差を跳んで降りておる。
っか、ひょぉぉぉっ!
こ、こりゃ、堪らんわい!
映像で観ちょるだけなのに、なんちゅう迫力じゃ。
百数mはある高さからのダイブに近いかのぅ。
まぁ、段差部分は数m程度ではあるが、たまに10m超えの場合もの。
あまりに高い場合、縄鏢を用いておったがな。
グルガムスは、適度に足場を見つけては、追付いしちょるわい。
で、何を考えたか、ダリルさんがグルガムスの真似をの。
っか、それは足場っと言わんからぁっ!
出っ張りを普通に足場にするでないわっ!
っか、なんで、ソコを足場にしたぁっ!
引っ掛かりなんぞ、見当たらんのじゃ!
アホぅか!
『微かな凹凸が存在した模様』
だからなんじゃ!
そがぁなん、足場じゃとでも?
『ダリル殿にとっては、足場なのでしょう。
理解できませんが』
見ちょる方が、堪らんわっ!
って、ん?
沙織さん、ヤケに静かじゃの。
『ああ、刺激が強過ぎたみたいですね。
気を失いました。
まぁ、ポッドにて適切な処置をしておりますので、ご安心を』
安心できるかぁっ!




