崖山の上は、まさに別世界じゃな。いや、危険地帯ちゅう意味で、じゃっ!
谷を越えた後も暫し移動を。
何処へ向かっちょるんじゃろか?
「チッ。
鎧熊程度のヤツしか居らんな。
あまりデカブツは不用。
持ち帰るのに邪魔だ。
むっ!
ほぅ。
植生的には、有用な物も在るとみえる。
コレは、ありがたい」
おや、狩りでのうて、採取を始めよったわい。
しかし、何処にでも生えちょりそうなんじゃが、ぞがぁに珍しい代物なんじゃろか?
『全てではありませんが、浅層から中層における植物が生えていますね。
流石に深層植物は、見当たりませんが。
ですが、この辺りへは生えない物ばかりです。
この崖山が、特殊なのでしょう』
ふむ。
やはり、遺跡が影響しちょるんかえ?
『おそらくは。
まぁ、関連性までは、解明されておりませんが』
で、ダリルさんは素材を見付けては採取をの。
とは言え、一回当たりの採取時間は短いが。
ぞがぁなことをしつつ移動しちょるとな、ダリルさんがビクリッと反応を、どがぁ、ん?
なんじゃろな?
複数体の獣が、1箇所に集まっておるの。
ふむ、群れで狩りをしちょるのじゃろうか?
「この気配は・・・ボルゾック、か?
群れを相手にすれなれば、狩り人としての鍛錬にもなるか。
む?
木の上にグルガムス?
なるほど、子連れか。
おや?
コヤツ、あの時の。
ふむ、何かの縁か。
義理は無いが」
なんのことじゃろか?
気になることを呟いておるな。
ボルゾック?とは?
グルガムスとかも、気になるのぅ。
おそらくボルゾックは、群れちょる獣なんじゃろが、なんでダリルさんは、ボルゾックじゃったか?
なぜ分かるんじゃろか?
っか、イキナリ走り始めおっまわい。
慌てるように走っておるが、どがぁしたんじゃ?
っと、急に跳び上がり樹上へとの。
ん?
弓を肩から外し、矢筒より矢を。
数本ほど取り出しておるの。
キリキリと引き絞り、直ぐに放つ。
いや、狙わんのかえ?
っか、何を。
ヒョォっと放たれる矢。
狙っておったのは、ボルゾックとやらか。
犬?いや狼かのぅ?
確か犬であのような犬種が居らなんだかえ?
『ご主人様が仰っておられるのは、ボルゾイでしょうか?
ただボルゾイよりは体毛が多く、毛も長いようですが』
ボルゾイちゅうんかのぅ?
まぁ、犬種は分からんが、そうなんじゃろ。
『確かに姿はボルゾイに、似通っておりますね。
あの獣は群れる傾向があり、群れると鎧熊を襲うこともあります。
個々の能力としても、足が速く顎の力も強いですね。
その鋭い牙や爪は、脅威だと言えます。
群れを率いるリーダーとサブリーダーを倒すと、群れの統率者が居なくなり、群れは瓦解して逃走しますよ。
まぁ、今まさに、そうなっていますが』
ああ、ボルゾックとやらが逃げ散っちょるのは、そがぁな理由があったんかいな。
「本当は群れ相手に稽古したかったんだが。
下手にグルガムスを刺激せん方が良かろう。
まぁ、狩るならリーダークラスのみで良かろう。
三頭なれば、解体したら持ち帰れるからな。
ボルゾックの場合、毛と皮だけしか素材にはならんが、結構デカいゆえ、多く狩っても持ち帰れん。
三頭で十分だろう」
そのように呟きつつ、木から跳び降りちょるな。
っか、普通に跳び降りちょるが、結構な高さじゃ。
沙織さんが、思わず「ヒッ」っと、声を出しちょったでな。
で、歩んでグルガムスじゃとかが居る木へとの。
「また会ったな。
前は道を譲ってくれたが、また会うとは思わなんだぞ。
まぁ、再び出会ったのも、何かの縁だろう。
コイツらの皮と毛は持ち帰るが、肉は要らん。
食うならば、食え」
そう告げた後で解体を。
っか、迷いのなく素早い動きじゃて。
しかも水晶石から海水を出し、解体に使っておる。
しかも使用した海水は水晶石へ戻す離れ技をの。
血も海水に混ざり水晶石へ。
雑菌なんぞも処理水に混ざって、除去されちょるぞい。
解体にて発せられた匂いなんぞは、風晶石にて散らされておるのう。
刃には真水を纏わすようにながされ、血糊や脂が刃に付着しとらん。
まさに流れるような解体じゃてな。




