地を走る様は、まさに忍びの者。あがなこと、真似は、って、ん?
儂が憤慨しちょるとな。
『なにか変でしたか?』などと。
いや、それじゃと、儂もダリルさんみたいな事が、できるみたいではないかえ。
あがなことは、流石にのぅ。
『なにを言っておられるのでしょう?』
なにを、って?
変なことを、言ったかえ?
『マスターは、ダリル殿ほどでは無いとはいえ、近い能力を有しておられますが?
ちなみに、マスターならばダリル殿へ素で着いて行けるかと』
はい?
そがな訳がなかろうに?
『マスターは、まだまだ、ご自分の状況を、ご理解頂けてないみたいですね。
マスターは人造種と化しとおり、その活動エネルギーは次元エネルギーです。
ある意味、ダリル殿を超える存在なのですから、ご自身の状態を、ご認識ください』
はい?
いや、沙織さん?
そがぁな信じられんモンを見るように、じゃな。
泣くぞっ!
で、そんな間にも、ダリルさんは移動しちょってな。
いつの間ににか岩山へとの。
で、反対側の垂直な崖とは違い、切り立ってはいるが段差のある崖がな。
ソコを蹴り付けるように跳び上がちょるんじゃが。
アレと同じことが、儂にできるハズがなかろ。
ありぁ、人ができる所業ではないぞえ。
『マスターにも身体能力的には可能かと』
うせ、や、ろぉ!?
『ただ』
『ただ?』
『マスターには、技術的な経験や知識が欠けておられます。
直ぐに同じことは不可能でしょう』
あ、ソレなれば、多少は納得かのぅ。
『まぁ、マスターは微電流を流した相手の記憶を得られますので、それだけで微電流を流した相手の技術や経験に知識などを得られますが。
どんな技量や知識も、瞬時に手に入れられるマスターは、ダリル殿よりもチートと思われます』
い、いや、ほれ。
ダリルさんや、カリンちゃんには気付かれるでな。
全員に行える訳では、のぅ。
『あれ、動画だから問題な訳です。
画像なれば、相手は動けませんので、気付くことも出来ないのでは?』
はぁ?
静止画像へ微電流を流して、どがぁすんなら?
『マスターは、静止画像からケーキを取り出されたことがあります。
なれば、静止画像へ写った人物へ微電流を流し、その記憶を得ることも可能では?』
むぅ?
試す価値は、有るか、のぅ。
『また、トンデモないことを。
それよりも、あの方が登り終えたようですが』
ん?
沙織が言うように、ダリルさんが崖を登り切っておるな。
「ふむ。
雷晶石を使った探知は便利だ。
以前よりも楽に探索可能だな」
そがぁなことをの。
そしての。
「だが、ろくな獲物が居らんな。
浅層レベルのヤツ程度か。
やはり、谷向こうでなければ、ロクな狩りにはなるまい」
そう呟いた後、再び走り始めちょる。
いや、儂が感知した限りでは、ハゲルさん達が戦った蛇やトカゲより強そうななが、辺りに徘徊しちょるんじゃが?
『ダリル殿にとっては、狩る価値もないのでしょう』
どんだけやねん!
『いや、マスター?
ダリル殿は深層狩人なんですが?
彼にとっては、アレらは何の価値も無いのでしょう。
マスターはココら辺の獣が、ソードディアと同等の価値があると?』
い、いや。
確かに、アレと比べると、のぅ。
『ソードディア?
なんでしょう?』
沙織さんは、見たこと無いでなぁ。
あがぁな恐ろしい生き物は、知らんでも。
『なんと!
こんな鹿が存在するんですね!!』
アドバイザーさん?
『なんでしょう?
今、沙織へソードディアについて説明しておりましたが、やはり動画にて説明すると理解が早いですね』
そ、そうですか?
『ご主人様』
ん?
どがぁしたんなら?
『あの方は凄いですね。
柱みたいになった足場を、蹴り跳びながら移動しています。
高低差もありますし、普通は無理かと』
おぅ。
何時の間にか、崖谷を越えておる。
確か、崖谷の向こうの方が、強い獣が居ったハズじゃでな。
しかし、丸っ切り忍者じゃて。




