いや、美味かったのぅ。しかし、沙織さんは、やはり意識を持って行かれたかえ。仕方ないのぅ。
良っしゃぁっ!
今回も意識を持って行かれんかったぞい!
まぁ、旨味の津波に洪水が溢れて、翻弄はされたが、の。
じゃが、カツンカツンは、せんかったでな。
沙織さん?
ふむ。
見事に翻弄ちょるな。
ふむ。
夢遊病かえ?
言い得て、妙じゃわい。
完全に意識がトンでおるのぅ。
ふむ。
料理食べるマンに、いや、ウーマン?になっちょるわい。
ソレにしても、綺麗な所作じゃのぅ。
意識は完全に無いのに、丁寧な食べ方じゃ。
アチラでは、ガッ付く感じで、皆食べちょるんじゃがの。
箸を使い、綺麗な所作でなぁ。
『そのように躾られておりますから。
ボディガードとして同行する際、会食に参加せざるを得ない場合もあります。
そのような場合に、恥を掻かないように。
沙織の恥は家の恥。
ついては、主の恥となりますので』
なるほどのぅ。
こうしてみると、躾とか教育の重要性が、良く分かるわえ。
まぁ、アチラも手掴みではない。
無いんじゃが、綺麗な食べ方、とは、のぅ。
前は気にせんかったのじゃが、沙織さんの所作を見ると、流石にな。
っか、儂も人のことを言えんぞい。
いや、一般人レベルでは、及第点じゃろう。
『いえ、一般人的には十分かと。
と言うか、データでは、現代の人々に箸をキチンと使えない者も。
いえ、二割以下との話しもあるみたいですね』
はい?
箸じゃぞ?
日本食の基礎じゃろ。
基礎の基礎で基本じゃてな。
そがなバカな!
あがなぁん、鉛筆持てれば、ソレを延長する形で持てば良かろうが?
『その鉛筆も、マトモに持てない者が多いみたいですが?』
はぁ?
うせやろ?
じゃぁ、どがぁして、物を書くんなら?
『今時、紙に文字を書きませんが?』
はい?
え?
どゆことじゃ?
『パソコンっと言うか、タブレットですね。
キーボードにて入力するため、書く文化が無くなりつつあります。
その弊害か、漢字を覚える者も減っておりますね』
それは、アレかえ?
変換して漢字を書くけぇ?
『そのようですね。
計算能力も、劣ってきています。
まぁ、タブレットなどの扱いは優れておりますので、効率はアップしておりますが』
つまり、機械頼りちゅう訳かいな?
『そうですね。
AIが普及したことで、思考力もAI頼りになりつつあります。
なので、人としての質は、ある意味では昔より劣るかもしれませんね』
はぁー
日本の未来は暗いのぅ。
『まぁ、そこら辺を鑑み、キチンと教育している方々もおられます。
ですから、社会的な格差が広がる訳ですね』
ふむ。
機械を使い熟して機械に使われる者と、独自に考え、機械を道具として使う者に分かれる訳かえ?
機械に使われちょるなれば、機械を使うモンに使われるのは、道理じゃてなぁ。
そりゃぁ、格差が広がるじゃろな。
まぁ、学ぶ機会は与えられちょる。
その際に、どのように学ぶかを選ぶのは自分じゃて。
考えて学ばんと、後々苦労するじゃろう。
ま、儂には関係ないがの。
っと、沙織さんも、食べ終わったかえ?
うむ。
所作が綺麗じゃと、カツンカツンせんのじゃのぅ。
中身が無い器を箸で、さらっておるのじゃが、音はせんし、食べ方が綺麗じゃ。
こりゃぁ、儂もマナーを学んだ方が良かろうて。
『マスターには不用かと』
なぜじゃ?
儂は、こがぁに綺麗な所作は、無理じゃぞ?
『マスターは、所作を学ぶ映像を見られたら良いので』
はぁ?
見ただけでは、無理じゃろがい。
『マスター
アナタは、映像内の方へ微電流を流し、記憶と経験を得ることが可能です。
ならば、そのようにして身に付けられては?』
あ、確かに。
っか、ソレってズルくないかのぅ?
『いまさらですね。
若返り、肉体を良い形にて変化させて、人造種に変化させた時点でチートです。
いまさら、何を言っておられるのです』
あ、いや、そのな。
そがぁに言われたら、そうなのじゃがな。
ぬぐぐぐぐうっ。
言い返せんわいっ!




