ダリルさんの動向を観てみようかね。ん?今、何時?
しかしなぁ。
ダリルさんに対する皆の扱いが、明らかに少年へ対するモノではない。
まぁ、熟練狩人の風格を漂わせているからなぁ。
しかも鍛治師などの職人は、己が職種へダリルさんが就かないのを惜しんでいる感じだ。
まぁ、片手間に習ったにしては、全てが一人前に違い技量だからなぁ。
っても、狩人としてはベテラン勢を超えるレベルだ。
だからな。
「いや、俺は狩人。
生涯、そうあり続けるつもりだ。
それにだ。
いつかは深層最奥へ挑んでみたい。
それは師匠の夢でもあった。
夢を引き継ぐ訳ではないが、俺も何れはな」
え?
深層へ挑むの?
無謀じゃね?
「まぁ、そう言われては無理を言えんか。
しかしダリルが、この道で精進すれば、一角の職人に成れるであろうに」
職人へ会う度に言われていますが?
こんな人物って、実際に居るんだなぁ。
『人造種の末裔、しかも混合種ですから。
様々な能力が遺伝子レベルで組み込まれております。
人が成す技術などは、組み込まれた遺伝子が補助しつつ習得できるでしょう』
いや、人造種ってチート過ぎね?
『ダリル殿が例外なだけですね。
人造種の血も薄れつつあり、血が濃く出る者は少なくなっております。
おそらくダリル殿は先祖返り組であり、様々な人造種の血が色濃く現れているのかと。
あのレベルになると奇跡に近い確率でしか発現しません。
まぁ、明らかに例外的な存在でしょう。
まぁ、もっとも、ダリル殿の師であるガウランドさんが、同様の存在であった疑いはありますが』
いや、そんなチートな存在が、同じ里へ居たのか?
それって、本当に稀なの?
『いや、ダリル殿が現れた里だからこそ、存在したのでしょう。
つまり、この里が人造種の血を色濃く受け継いでいたためと推測されます』
あーなる。
それなら合点できるか。
ん?
だから、この辺りの里の者が人造種の末裔なのか?
『そうなりますね。
隠れ里から逃れた者達が寄り添って暮らした場所が何ヶ所か在るみたいです。
この周辺は、そんな者達の末裔が住まう場所だと思われます』
つまり、ダリルさんみたいな存在は、他の末裔が住み暮らす場所でも産まれる可能性が在るんだな。
しかし古代文明って、とんでも無い技術を持ってたんだなぁ。
『そうですね。
この星では過去に何度も文明が起こり滅んでいます。
そのせいで化石燃料は枯渇しており、科学文明が発達する礎が無くなっております。
つまり、高度な文明は起こり難いでしょうね』
あー、そんなんなってんだなぁ。
俺たちの文明みたいに文明が推移するには、石炭や石油などの化石燃料は必須だ。
それ無しでは無理だろう。
っと、ダリルさんの挨拶周りが終わり、家に溜め込んでいた素材を里長の所へ持って行ったな。
どうやら里長が買い取ったみたいだ。
明日、村へ持ち込む品へ加えるらしい。
ん?
あれ?
結構長くダリルさんの動向を観ていたような?
時間大丈夫かっ!
明日も仕事があるんだが!!
『大丈夫です。
マスターの同期率が上がっており、6倍の時間圧縮にて観ておりましたので。
移動や、場面場面では映像をカットし、視聴時間を短縮しており、1時間程度に抑えております。
ゆえに、実際には10分程度しか経過しておりませんので』
いや、時間圧縮ぅ?
またファンタジー、いやダイブ型VRMMO的な話しに出て来そうなことを。
そんなんが、マジでぇ?
『これは誰へでも行えることではありません。
あくまでも幻送機へ適合し、一定以上の適合率を得ていないと不可能です。
マスターの場合、酔っていたことが良かったのか、一気に適合率が上昇しておりました。
ゆえに時間圧縮にて時を稼いだ訳です。
さて、明日もお仕事があるとのこと。
視聴は、この辺りまでにされては?』
まぁ、時間圧縮っても、異世界を観る時間に対してだけだ。
睡眠時間を削ってまで夜更かしするもんじゃなかろ。
さて、寝るかね。




