気付けば、森の中ぁっ!転移っ!安心してください、映像です。
いや、なーんだ、じゃねぇ、俺。
これ、とんでもない代物なんじゃ?
ま、まぁ、ド素人の俺が色々と考えても分からんし、他人に明かせば騒動になるだろう。
変なことに巻き込まれる可能だってだな。
幸いなことに、外見は普通の木箱だ。
こんな、とんでも装着だとは、誰も思わんだろう。
『そのために、このような外装となっております。
また、適合者以外には扱えないため、バレることも無いでしょう』
あ、さいで。
まぁ、せっかく貰った訳だし、ちと試してみるかね。
少なくとも、ジョークグッズでは無い訳だしな。
したらな。
『近接した次元の世界へアクセスしました。
この度の近接期間は一週間ですが、マーカーを打ち込めば当該次元が離れてもアクセス可能となります。
マーカーは、場所および生物へ設置可能となります。
この度は、場所へ設置しておりますので、慌てる必要はございません。
マーカーは複数設置でき解除も可能ですが、1次元に100マーカーしか設置できませんので、ご了承願います』
ふーん。
しかし100個も必要なのかねぇ?
『対象は、パラレルワールドを含む次元内の宇宙全てとなります。
ゆえに、無限に近い対象の内100しかマーカーを設置できません』
あー
対象が多いのね。
なんとかワールドは意味不だが、膨大な宇宙全域は分かる。
そんなんが対象なら、100マーカーでは少ないのかもな。
まぁ、何でも良いや。
そのマーカーを打ち込んだ場所とやらを観てみますかねぇ。
そんなん思ったらな。
『畏まりました。
では映します』
そんな声の後で、ウインドウへ映像がな。
ここは、森の中か?
前方しか見えない。
まぁ、画面へ映る景色だから当然だな。
そう思っていたらな。
『映像を展開します。
マスターの『幻送機』に適合する割合が増せば、さらに機能を解放いたします』
何やら始まったんだが?
したらな、部屋の中が森に。
はい?
いや、何を言っているんだ、俺。
訳が、分からない???
コレって立体映像?
3Dっうレベルではない。
完全に森の中だ。
なんだか森の中へ放り出された気になり、慌てて辺りの葉を触る。
うん、すり抜けるな、映像で間違いなさそうだ。
触感はないが、視覚的に、いや聴覚的にも森の中と・・・
いや、あれ?
香りが?
え?
匂いまで再現してんの、これ?
現在までの受像機には、香りを再現できた代物はなかったハズだ。
この一点に於いても、世に知られれば大騒ぎになるだろう。
しかし、辺りを見回せば、普通に見回せる。
完全に森の中だが、宙にウインドウが浮かんで無ければな。
っか、森の中で椅子に座っている俺って。
『行きたい方向を意識すれば、そちらへ移動する映像となります。
動く必要は、ございませんので』らしい。
完全に森の中であり、道も無い。
この世界に、人は居るのだろうか?
『人とは姿形が異なる知的生命体も存在いたします。
ですが、初見では馴染めないでしょう。
そのため、マスターに近い知的生命体が居る世界を選んでおります。
森の中を林道が通っております。
ソチラへ移動しましょう』
そう告げられると、辺りの景色が動き始めた。
始めたんだがな。
いや、そのぉ、木にブツかるっ!
危ないっ!
はい?
擦り抜けた?
あ、映像だったわ、コレ。
しばらく移動したら道らしき物が。
いや、未舗装だし土の道には雑草が。
轍が穿たれていることから、馬車か何かが通る道だと思われる。
思われるが、俺的には獣道だとしかな。
通行量は多く無さそうだ。
だが、道があるなら、人里へと続いているんだろう。
なので道沿いに移動をな。
一応はバイクを運転したことがある。
だから移動スピードに対しての戸惑いはない。
だが、剥き出しにて移動なのに、風を感じないため違和感がな。
車よりバイクに近い感覚だが、勝手に景色が変わり移動するからなぁ。
まぁ、慣れるしかないか。