盗賊達にも理由が?いや、犯罪はダメでしょ!
人を襲うような里の者なら殲滅されても仕方ないだろ?
そんなん思っているとな。
『あの者達の里周りでは、獲物がカナリ減っております』
そうなんだ。
でも自然現象なら仕方ないよな?
『いえ、人災です』
はぁ?
どゆこと?
『この辺りの植生が異様に良くなったため、辺りから獣が集まっております。
獣は容易く増えることはありません。
容易く狩れるほど集まったと言うことは、他から集まったと言うことですね。
つまり、獣が移動した場所からは獣の気配が消えることになります。
当然、狩り人の里付近で獲物が減れば、その里は困窮することになります。
この里付近では他の里は困窮状態なのに、この里だけは問題ない。
おかしいと思われないハズがないですよね?
まぁ、原因が分からないから苦情も言えませんが、里の放棄も考えねばならないレベルです。
そうなると、短絡的な考えを持つ者も現れます。
獲物が居ないなら、居る場所で狩れば良いと。
だが、里同士の取り決めで狩場は里ごとに取り決められています。
ワザと他の里で狩ったことが知れると、犯罪者となる訳です。
なんども繰り返すと、捕らえた時に死罪となります。
故に、どうせ犯罪者扱いならば、狩った獲物を奪えば良い、などと考える者も。
この度の襲撃者達ですね。
狩人としての腕は浅層レベルでしょう。
中層では活動不可能であり、赴けないレベルです。
まぁ、中層で活動可能な狩人も多くは無いのですが。
そんな彼らは、他の里が村や町へ品を売りに行くのを襲っています。
まぁ、常習犯ですね。
この里でも一度襲われ荷を奪われています。
まぁ、無駄な争いを嫌い引いたため、死者は出ていませんが、怪我人は出ています。
他の里では襲撃で死者も出た模様。
故に現れたら討伐が推奨されていますね。
だから殲滅しても問題ない訳です』
い、いや、さぁ。
殺伐としてねっ?
っか、明日は必ず襲われると?
『まぁ、そうなりますね。
とは言え、ダリル殿が居れば、アチラが壊滅でしょう。
自業自得ですね』
い、いや。
人が死ぬのに自業自得って、アータ。
『あ、人が争うシーンが苦手ならカットできますし、映像加工も出来ますので。
ただ、アチラの世界では、人が死ぬのは珍しくありません。
慣れる必要はありませんが、アチラを見ていれば、高確率で見ることになります。
見たくないならカットですし、見たいなら映像加工いたします。
現物をソノ侭で見るのは、お勧めできませんね』
映画やドラマで戦闘シーンも観るが、アレはリアルではない。
実映像ともなれば、俺が耐えられない可能が高いかな。
ディスプレイ越しに観るのもキツい可能性があるのに、この映像は現場へ居る臨場感が有り過ぎるからなぁ。
ほぼ現場へ居るのと変わらない感じになるだろう。
そう考えると、平和で争いのない世界で育った俺が耐えられるとはな。
だが、戦いのシーンだけをカットしては、何が起こったのかを理解できないだろう。
そう考えると。
「そうだな。
映像を加工して貰おうか。
現場を観ていないと、話しの流れが、分からなくなるし」
そう告げると、アドバイザーさんがさ。
『畏まりました。
なるべくソフトな感じに仕上げましょう。
そうですね。
映画で公開できるレベル程度には、抑えるように致します』
そいっぁ、有難いな。
で、ダリルさんなんだが、里長の家を辞した後、知り合いへ挨拶しに行っている。
鍛治や細工、服飾に革加工などを教わった職人。
農夫や木こり、などなど。
知り合い、多いな、をいっ!
ん?
そう言えば、親へは挨拶しないのか?
『ダリル殿は、アレらを親と思っておりません。
赤子時代も産まれた後に放置した模様。
近所の知り合いが、自分の赤子を育てる序でに乳を与えています。
つまり、全く育てていない訳です。
それなのに、ガウランドさんへ金銭で売り飛ばしていますし。
完全に嫌っていますね』
あー、そらぁ、親失格だわなぁ。
仕方ないだろうさ。