ダリルさん?マジ、チートっ!
何でも出来ると感心してたらな。
『まぁ、職人からしたら基礎レベルでしょう。
初心者よりマシ、っと言ったところでしょうか。
まぁ、狩りの合間に習った手慰み程度でしょうか。
それでも一人前に近い力量を得ているのは、異常ですが』
あー
やっぱり異常なんだ。
そらぁ、そうだよね。
落ち着いた雰囲気と、その語り種からは18歳に見えない。
二十歳代どころか、さんじゅう代後半。
いや、四十代でも通りそうだ。
良く見ると若いことは分かる。
だが、その立ち振る舞いに言動が、その年齢を誤らせるみたいだ。
っか、力量自体がベテラン勢に属してるよね?
俺たちの世界なら高校生か、高校卒業した位の年代だぞ?
明らかに異常だ。
っと、装備を纏い、色々と点検しつつ調整していたダリルさんが、里長と話してたんだが、明日、売ってない素材を売却することにしたみたいだ。
ダリルさんの家は、ダリルさんの物として20年は保有物として良いらしい。
そのための割符も受け取っているが、羊皮紙を受け取っているな。
なんだ?
『あれは、今の契約を文書とした契約書ですね。
3枚有りますが、1枚は里にて、1枚はダリル殿、最後の1枚は、街の行政機関へ収められます。
まぁ、行政機関へ収めるのは任意ですが、契約を違えた場合に行政機関が間に入ります。
ゆえに契約を履行せざるを得なくなる訳ですね。
まぁ、申請には対価が必要ですが』
まぁ、対価は求められるわなぁ。
世知辛い。
『とは言え、必要な物は全て持ち運べる程度でしか保持していない模様。
ダリル殿と言うより、里長がダリル殿との繋がりを断ちたくないため、契約書を用意したみたいです。
ですので、申請費も里長が出したみたいですよ』
まぁ、彼の力量なら、新たに家を建てることも可能だろう。
家の周りには畑もあり、家畜も飼っていた。
アレも自分で管理していたのなら、何処でも生きていけるわなぁ。
ちなみに、畑の作物は全て収穫し、家畜は売り払ったらしい。
行動早いな、をいっ!
っても、家畜の大半は、森に逃げて野生化したのを捕らえて来たらしい。
だから元手は掛かってないんだとか。
逞しいな、をい!
「では、明日の夜明け前には出るのだな?」
「うむ。
荷車を牽くでな。
確実に襲われるのに、馬や牛などは使えんでな」
「まぁ、馬や牛にロバなどは高い。
無為に失う訳にはいかぬか。
戦いになれば狙われるし、戦いへ参加することも出来まい。
仕方あるまいな」
そんなものか?
荷駄を牽かせるだけ楽ができ余裕が出るだろう。
移動速度も上がるだろうに?
『それだけ高価なのですよ。
そうですねぇ。
最高級のロールスロイスへ荷車を付けて、賊が待ち構える場所を荷運びすると考えたら分かります?
ロールスロイスも狙われますが、下手したら壊されます。
誰もしないでしょ?』
あー
極端な例すぎて、逆に分からんが、まぁ、言いたいことは分かった。
しかし、馬や牛って、そんなに高いんだなぁ。
『荷を牽く生き物は、どんな生き物でも高いですよ。
まぁ、騎獣となれば、さらに高くなりますが』
そんなんだね。
しかし、荷車牽く者も大変じゃね?
『まぁ、この里の者なら大丈夫でしょう。
ダリル殿ほどではありませんが、人造種の一族ですから。
里外の者達よりは、遥かに膂力が有ります。
それに戦える者だけが参加するみたいですので』
いや、そんな里人を襲うのか?
バカじゃね?
『いや。
襲う方も人造種の系譜ですね。
まぁ、そうでなければ、森で待ち伏せなど出来ないでしょう』
え?
それって、ヤバくね?
『普通は互角。
荷を守るため、普通なら里人が不利でしょう。
ですが、相手が悪過ぎです。
ダリル殿が居ますからねぇ。
まぁ、殲滅されるでしょう。
あれ、近くの里から出張った者達なんです。
働き手を一気に失い、滅びなければ良いんですが』
いや、盗賊するような者の里なら滅んだ方が良くね?