蒼い影、忍者?いや、ダリルさんです!
ダリルさんの革鎧なんだが、首周りにスカーフ的な布が。
「ふむ。
マスク代わりか?
防塵用としては良いやもな」
そう告げて、スカーフで顔下を覆う。
うん、何処ぞの忍びですか?
「森の影へ潜み易い色合いだな。
体臭も革鎧にて防がれている。
狩には良かろう」
うーん、そなの?
俺には忍者にしか見えんのだが?
『森の木陰へ潜み獲物を狩る狩人は、潜み忍ぶ者でもありますから、似た感じにもなるのでしょう。
まぁ、アチラの世界には忍者などは居りませんが』
まぁ、異世界だしなぁ。
「鎧は気に入ったようじゃな。
して槍と剣に弓などじゃ」
里長が促すと、ダリルさんが武器をな。
っか、剣?刀じゃね?
いや、峰にも刃が有るから、刀とは違う?
『斬ることに特化した剣のようですね。
骨に金属を巻き付けて造った物のようです。
金属は合金であり、複数の異なる金属を纏め、それを打合わせることで一つの金版へと加工。
その金版を骨へ巻き付け、打ち鍛えた品みたいです。
しかし、金属より硬くシナヤカで折れ難い骨ですか?
熱にも強く打撃にも耐えると。
加工が厳しく、その物を加工することは困難。
故に剣などの芯材として用いられるみたいです』
なに、そのファンタジー素材?
コッチの世界には無いよね、それ。
『無いでしょう。
っと言うか、アチラでも珍しい素材みたいですね。
ファンタジー的には、ドラゴンの骨みたいな感じでしょうか』
はい?
そんな素材を、ダリルさんの師匠が狩ったと?
どんな化け物やねん!
「ふむ、良い剣だ。
峰にも刃が有るのが良い。
咄嗟の場合に、峰で斬りたい時もあるのでな。
まぁ、この程度の刃では、致命傷は負わせれぬであろうが、牽制には十分だろう」
そうダリルさんが告げるとな。
「まぁ、剣は補助じゃしのぅ。
狩りでは槍がメインじゃて」
「まぁ、確かにな。
剣の間合いよりも槍の間合いの方が有難い。
戦う獲物が格上であるならば、特にな。
しかし、変わった形状の槍だな。
コレは師匠から?」
ダリルさんが手に取った槍?なんだが。
薙刀?
いや、青龍刀に近いか?
『西洋でグレイブと呼ばれるタイプですね。
突くのと斬ることが可能なタイプです』
っか、刃の部分が分厚くね?
鉈の刃みたいなんだが?
穂先には刺す用の刃が別に設けられてっし。
『確かに変わった形状ですね。
ただ、薮刈りなどには、便利そうです』
あー
森を移動する際に、下草や雑木を切り払うにはなぁ。
それも意図してんのかねぇ?
「ふむ?
穂先の槍は要るのか?
どうも斬ることに特化したタイプの槍だと思われるのだが?」
すると里長がな。
「穂先の槍刃は、鍛治師が付けたらしいわえ。
槍なれば、突き刺す刃も必要さじゃろうと、考えたらしいのぅ」
そう里長が告げるとな。
「いや、斬るに特化した長物へ突く刃は不用だろうに。
まぁ、無理に取り去るのも面倒だ。
良しとしよう。
それより、最後の弓だが。
この弓は複数の素材を組み合わせてあるのか?
このような造りは、初めてなのだが?」
複合弓とかコンジットボウっと、呼ばれるタイプだな。
強弓を造るのに適しているんだったか?
『さようですね。
ですが、引き絞るのに力が必要になる場合があり、射手を選ぶ品になることがあります。
あの品も、かなり扱いが難しいと思われます』
そうなんだなぁ。
ダリルさん見てると、そうは思えんのだが?
楽々と引き絞りながら、感触を確かめてるし。
『あの方は別格ですので。
おそらく、普通の狩人では扱えないと思われます』
そうなのか?
「ほっ!
容易く扱いよるわい。
そのような強弓、若い頃の儂とて扱えなんだであろう。
やはりガウランドの弟子だけあるわぇ」
里長が、そのようにな。
ってことは、やはりダリルさんが別格っうことやね。
そんな里長の言葉を気にすることもなく、ダリルさんは矢を確認している。
ヤケに熱心やね?