うむ。モンブランは最高じゃ!この至高のモンブランは、のっ!
美味い茶にて、至高のモンブランを食す。
いやぁ、最高じゃのぅ。
映像先である方々は茶のみで、なんだが申し訳ないわい。
うむ、美味し!
で、茶を飲み終えた一行は移動するようじゃな。
行き先はロゼッタ達が拠点としておる借家じゃとか。
実は買い上げとるらしいのじゃが、下手にロゼッタ嬢達の資産だと知られたら、取り上げようとチョッカイをのぅ。
まぁ、どだい無理じゃが、そうなれば家屋破壊や放火の恐れがあるのじゃとか。
「ロゼッタ。
弟へ恨まれることでもしたのかね?」
そうダリルさんが告げるとな。
「そんなつもりは無いんだけどねぇ。
昔からアタイと比較されて、色々と拗らせちゃってんのさね」
「?
なんだぁ、それは?」
ダリルさんが首を傾げるとな。
「お嬢の才能は、親方を超えるかんねぇ。
そんなお嬢を跡目に、っうのが、職人達の総意だかんなぁ。
まぁ、親方は跡目に女は据えられん、って首を縦に振らなんだがねぇい」
「いや、それにしても、ちょっと酷過ぎないか?
跡目には決まってたんだろ?」
ダリルさんの疑問も、もっともじゃろうの。
「いやぁ、アリャぁ才能自体がないかんねぇい。
なのに努力もしやしねぇ。
しかも他人の物を欲しがるは、人を見下す、は、でねぇい」
なんじゃ?
そがぁな人間がおるんかえ?
ん?
いや、会社にも似たような輩が居ったような?
「ふむ?
いや、俺には良く分からんのだがな。
実力がないクズを頭に据えて、その工房は大丈夫なのか?」
首を捻っておるな。
「大丈夫な訳がねぇだろい。
だから腕に自信がある職人は、早々に逃げ出してんよ。
まぁ、扱いも酷くなってたかんねぇい。
お嬢に対する当たりがキツくてねぇい。
腹が立ったから、お嬢と工房をでたんでぇい」
なるほどのぅ。
そりゃぁ、工房から出るじゃろな。
「オレ達が工房を出たら出たで、ソレが気に入らねぇようでよぉう。
チョッカイだけでなく、嫌がらせなんかもねぇい。
火付けしに来た輩を役人へ突き出したら、アイツも捕まり掛けてねぇい。
まぁ、ちと大人しくなったんだが、オレ達もトラブルは困るてぇことで、借家を追い出されちまったんだよぉい」
かなり酷くないかえ?
なんで捕まっておらぬのじゃ?
『どうも捕まえるほどの証拠が無かったみたいですね。
ただ、放火未遂犯は、本人は斬首、一族郎党が街から追い出されています。
まぁ、放逐は、ある意味では恩赦ですが』
はぁ?
どう言う意味じゃ?
『この辺りでは石材より木材が得易い関係から、木造建築が盛んです。
つまり、火が出たら、街が火の海になる可能性もある訳ですね。
つまり放火はタブーであり、重罪なのですよ』
まぁ、理屈は分かるが、恩赦とは?
放逐は恩赦ではあるまいに。
『いえ、そんな放火犯の類縁と知れたら、街の人々に私刑される可能性がですね。
村八分は当然ですが、下手したら殺されますから』
うっわぁー
なかなかに過激じゃのぅ。
ふむ。
なれば、恩赦とも言えるのかえ?
『そうですね』
「しかし、それなら、良く今の借家を借りれたな?
いや、実際には持ち家だったか?」
不思議そうに尋ねるとな。
「ああ、アソコは領主様の狩猟小屋だなんさね。
しかし、あの規模を小屋あつかい、って、お貴族様だわさ」
まぁ、領主じゃろうから、貴族じゃろうな。
『いや、そう言う意味では、ないかと』
「いやいや。
なんで、領主様がロゼッタ達へ狩猟小屋を?」
まぁ、当然の疑問じゃわな。
「そりゃぁ、アタイとハゲルが、領主様の御用達鍛治師だからだわさ。
アタイらを超える鍛治師は、この近辺には、居ないからねぇ。
っても、アタイとハゲルは、資金が出来たら街を出る気さね。
結局、弟の悪行を放置してるんだからさ、そらぁ、見限るわよ」
まぁ、ダリルさんの後押しで捕縛に動いたようじゃが、まぁ、遅かったかのぅ。
せめて詫びに、狩猟小屋を下賜しとれば、話しは違ったやもな。
売っておるのでは、のぅ。
まぁ、仕方あるまいて。