さーてぇ、皆さん?お待ちかねかは知らんのじゃがの。飯テロじゃっ!
なんかしらんが、アドバイザーさんが厳しいのじゃが?
美味い物を食いたいのは、人間の本能じゃでなぁ。
勘弁してつかぁーさいや。
で、じゃ。
ダリルさんが、意識して作ったかは知らぬが、出来上がったラーメンを食したのじゃがのぅ。
このラーメン、今まで食べたラーメンを遥かに超えた味じゃと言える。
麺の旨みもじゃが、食感が堪らんのじゃ。
しかも、細い麺にスープ餡が絡んでのう。
口の中にトロリとした餡と麺が。
麺を噛むと、あのシコシコとモチモチとプチリプチリって。
あぁっ!
これと、スープ餡が更に絡まり、極上の味わいに。
ただ、具材がのぅ。
いや、美味いんじゃよ。
美味いんじゃ。
ただのぅ、麺とスープのハーモニーへ交わる異物じゃな。
具材は具材で食うと美味い。
じゃが、その大きさがのぅ。
ん?
おや?
ふーむ、ふむ。
先に具材を咀嚼し、麺を啜れば、これへ麺とスープが調和しよったわい。
見事なアンサンブルじゃて。
ひょっ!
コレにトチナの実スライスが混ざり、味わいが増しよったわい!
まさに極上!
天にも昇る味とは、このことかえ!?
以前であったら、美味さのあまり、昇天しとるぞ!
まさに、昇天料理じゃっ!
『マスターぁ〜
シャレになってませんからねっ!』
ふぉっふぉふぉっ。
すまぬ、すまぬ。
あまりにも美味いでなぁ、まぁ、許せ。
『まったく、もぅ。
知りません!』
おやおや、アドバイザーさんに拗ねられてしもうたわい。
しかし、人間臭くなったのぅ。
で、アチラでラーメンを食しておる面々なんじゃがの。
一口食べて硬直し、二口食べて二ヘラっと。
なんか、泣きながら食っとるヤツもの。
いや、泣くほどかえ?
っか、美味い!とか、なんか喋らんかい!
無言でラーメンを貪っておるのじゃが?
そんな中、ダリルさんがの。
「くっ、しまった。
この料理は、失敗だ。
試作すべきだったか?」
ソレが聞こえたカリンちゃんが、反応したかえ?
他の面々は、料理に魅了され聞えとらんみたいじゃ。
『おそらく、付与師であることが、関係しているのかと』
ほうなのかえ?
『彼女以外は、反応しておりませんので』
状況判断かいっ!
「失敗っ?
えぇーっ!
こんなに美味いのにぃー?」
まぁ、そうじゃわな。
「いや、具材を細く切るか、微塵切りにするべきだった。
これでは、麺との調和が取れてない。
失敗作だな」
いや、ダリルさんや?
自分に厳し過ぎぬかえ?
確かに具材との調和については、儂も思いはした。
じゃがのぅ。
それは、儂がコチラで色々と食しておるからじゃてな。
ダリルさんの世界における食は、言っては悪いが、コチラよりも劣るでな。
そんな世界の住人にとっては、得難い経験、っと言って良いほどの味じゃろうて。
っうか、のぅ。
あの者達は、一体、なにをしておるのじゃ?
空になった丼をフォークでさらっており、匙で掬っておる。
豪快に丼に口を付け、飲み干すようにしとる者ものぅ。
いや、丼の中は空なんじゃが?
焦点が合っておらず、怖いんですが?
『完全に味に魅了されておりますね。
まぁ、味付けに塩と香草くらいしか使わない食事でしょう。
ソイ芋を使うこともありますが、扱いを間違えると不味くなるため、一般家庭では使われていませんし。
それに出汁を取る習慣など皆無ですから。
出汁の効いた汁物は、格別な味に感じるでしょうね。
まぁ、ダリル殿が、マル芋粉を利用した灰汁抜きと、味の凝縮を行った食材です。
マスターの世界でも、超一流店が霞むほどでしょうから』
ま、まぁの。
少なくとも、儂が食ったラーメンで、ダリルラーメンを超える物は無かったわい。
いや。
先程食べたスッポン料理。
アレよりも、確実に美味かったからのぅ。
うぅ〜むぅ。
あのスッポン料理は凄かったんじゃぞ。
儂が今までに食べた料理の中でトップクラスじゃったんじゃよ。
それが足元にも及ばぬレベルじゃてな。
もう、ダリル飯のない生活には、戻れそうにないわい!