ラーメン?ラーメンなのか?いや、マジでぇ?
炒めた料理を皿へと。
次は麺を先程、笊にて濾した湯にて湯掻いておるな。
湯掻き終えたら、丼のような器へと。
ひょっ?
炒めんのかや?
そして、避けておいた炒め料理を麺の上へと。
なんと面妖な料理じゃなぁ。
ん?
いや、ちょっと待て。
調理は終わっておらぬようじゃ。
麺を湯掻き終えた湯。
ソレへ海水と熟成ソイ芋をのぅ。
他にも香草や香辛料を加えておるな。
な、なんと言う爆発的な香りじゃっ!
腹が鳴る鳴る、堪りません!ってかぁ!!
味噌?
いや、半透明なそれは、醤油ベースのスープが如しじゃっ!
出来上がりかのぅ?
え?
何故に、ここでマル芋粉を鍋へ?
いや、ちょっと!?
そがぁに大量のマル芋粉を入れちゃぁダメじゃぁぁぁっ!
あーあっ。
スープがマル芋粉で。
ん?
トォーロトロやぞ、トォゥーロントロやな。
中華の餡掛け料理の餡やなぁ。
ソレを、全ての丼に均等になるようにのぅ。
で、小振りの丼には、トチナの実をスライスした白い具材が散らされておる。
「出来たぞっ!
運ぶのは、各自でやってくれ」
「出来たの、ダリル兄ィ!
もうオイラさぁ、お腹が凹んで穴が空きそうだよぉ〜」
料理の香りに耐えかねたように、カリンが駆け込んで来る。
「こらっ!
調理場を走るなっ!
それと、カリンはコレだ」
そう告げて、カリンへ丼とフォークを渡す。
って、おや?
この世界にフォークが有ったのじゃな。
『いえ。
アレはダリル殿のお手製ですよ。
木から削り出していましたね。
この世界は、手掴みかナイフで刺す、もしくは匙で掬うしか方法が有りません。
麺を食すに相応しいカトラリーが存在しないのです。
ただ農具などには、複刺しと呼ばれる品も有ります。
コチラではフォークと呼ばれている、カトラリーであるフォークの原型となった品です。
ダリルさんも、アレを真似て作ったみたいですね。
まぁ、歯が多い方が良いと考えたのでしょう。
フォークの歯が5本になっていますね。
そのため、フォークが大きくなってしまっていますが、麺理初心者には、この方が良いのかもしれません』
そんなもんかのぅ?
じゃが、アノ世界では先進過ぎるカトラリーを渡されたカリンちゃんが、首を捻っておるわい。
「ダリル兄ィさぁ、コレ、なんだよ?
それに、この料理、どうやって食うんだ?
訳分かんねー」
まぁ、そうなるじゃろうな。
フォークを手にして首を捻り、熱々の汁で満たされた丼に戸惑っておる。
皆も調理場へ料理を取りに来て、首を傾げておるな。
そんな彼らへダリルさんがの。
「コレは、このフォークで麺を絡め、スープを匙で掬って飲むのだ。
このフォークは、農具を真似て俺が作った品でな。
麺料理を食べ易くする為に作ってみたのだよ」
そう告げられ、ロゼッタ嬢がな。
「麺料理?
麺料理って、なんさね?」っと。
ふむ。
麺がスープに、沈み見えておらぬからのぅ。
「ふむ。
ここら辺には麺料理は伝わって・・・
ああ、そうか。
麺を作れる者はトゥルツゥーナ町にしか居ないのだったな。
それに、本格的に麺が作れるのは、この国ではパルマさんだけだったか?
なれば、知らなくて当然か」
そう呟いた後でな。
「麺は、あまり知らなくておらぬ料理でな。
俺が食べてみせるゆえ、まぁ、真似て貰えるか?」
そう告げたダリルさんが、フォークで麺を掬い食べてみせらる。
細麺がフォークへ絡まり、具材も引っ掛かけての。
それへトロントロ〜ンなスープが絡み付き、口へと。
「うむ。
ちと熱いゆえ、気を付けねばなるまいな。
まぁ、このように食して貰いたいのだが?」
そう告げるのだが、周りは我慢しかねて食べ始めておるな。
では、儂は箸で。
おおぅ!
こ、これはぁっ!
『いつの間に!
マスター!
勝手に食べないで下さい!
あー!
トチナの実スライスを、そんなに入れて!
兵糧丸を五粒も食べているんですからね!
どうなっても知りませんよ、もぅ!』
あー、アドバイザーさん?
オコ?
『もぅ、知りません!』
どうやら、怒らせてしもうたようじゃ。
すんまそ〜ん。