ダリルさん、調理場へ?いや、先に買い物ですか、さいですか。
席を立ったダリルさんは、マル芋を回収し、近場へ生えていた香草などを採取。
その後、工房近くの市にて、簡単な食材を買っておるな。
まぁ、近辺で採れる香辛料や野菜じゃが。
熟成済みのソイ芋も購入し工房へと。
近場で、素早く購入する物を決めておったでな、さほど時間は掛かってはおらぬ。
『そうですね。
ですが、質の良い品だけを、狙ったように買ってましたね。
やはり狩人の知識と技能なのでしょうか?』
ほぅ。
値段は変わらぬゆえ、売り手は涙目じゃな。
『いえ。
彼らは、良い品だけを選りすぐられたことに、気付いてないですね。
まぁ、見分ける力も無かったみたいですが、ダリル殿が無造作に品を選んでいるように見えましたから』
ううむぅ。
ダリルさんてば、厄介な客じゃてのぅ。
で、そのダリルさんなんじゃがの。
工房の調理場へ入ると、マル芋の種を粉に。
いや、どがぁなっちょる?
芋の薄皮から種が剥がれ落ち、宙に留まると打つかりながら回転を。
ミキサーかえ?
っか、マル芋種が、凍っておらぬかや?
急激に凍結され脆くなったマル芋種が、ミキシングされて砕け、さらには粉になっておるな。
いや、これのぅ。
映像にてスロー再生されちょるで分かるんじゃが、普通なら一瞬にてマル芋種が粉に、なったみたいに見えるじゃろうの。
そがぁにしてコサエたマル芋粉の一部を、水晶石から出した水を火晶石にて煮立てた鍋へとの。
っか、あの鍋の水、海水が混ざっておらぬかや?
『おや?
良くお気付きに。
海水が出る水晶石からも海水を出しておりましたから』
やはりのぅ。
で、多少のマル芋粉を加えた鍋に、野菜から香辛料などの植物由来の食材を潜らせておる。
いや、潜らせるだけで、あがいに灰汁が抜けるのかや?
次は薄切りにした肉類かや?
いや、潜らせただけじゃぞ?
なんじゃ、あのドス黒い灰汁は?
あ、透明になったのぅ。
むっ?
別の鍋へ笊を敷き、ソコヘ鍋の湯を。
濾しておるな。
うむ、笊には昨夜も見たドス黒いゼリー玉がの。
灰汁の塊っうか、アリャ毒玉じゃてな。
まぁ、ソチラは分かるのじゃがな。
何故、トチナの実が混ざっておるのかのぅ?
丸ごと入れたのじゃろか?
皮がヒビ割れ割れておるの。
っか、ほぼ分離仕掛けておるわい。
トチナの実・・・ジュル。
『料理へトチナの実が使われる可能性があります。
ですので、トチナの実を食べられた場合、トチナの実が入った料理の御試食は、ご遠慮いただきますが、よろしいですね?』
よろしく無いわい!
意地悪ぅ〜
『くすっ』
おや?
アドバイザーさん?
笑ったのかや?
『?
なんのことでしょう?』
無意識かえ。
しかし、こりゃぁ人間臭くなったもんじゃてな。
っと、ダリルさんや?
この間に麺を食べる打ち終わるじゃ、とぉ!
早過ぎぬかえ?
マル芋粉と小麦粉にトチナ粉へ、煮汁を加えて練り上げておる。
ソレを蕎麦を打つみたいに平たくして重ねて切る。
いや、以前は、そうしておったよな?
何故に拉麵の麺打ちのように、伸ばして紐状にしておる?
一本が二本、二本が四本っと、倍々に増えとるんじゃが?
結構な見栄えじゃて。
絵になるのぅ。
っか、かなり細くなってはおらぬか?
炒めるには適しておらぬと思うのじゃがな。
で、麺を次々と作った後、分けて置いておるな。
どうやら、次の工程かのぅ。
ん?
ダリルさんが、何かボソリっとの。
「マル芋粉を入れたら伸びが良くなったが、トチナ粉を入れたら更に伸びが良くなった。
ゆえに、伸ばして麺が作れぬか試したが、上手くいったな」
おや?
思い付きじゃったか?
流石はダリルさん、っと言ったところじゃてな。
人が思い付きもせんことを、サラリとしおるわい!
で、具材を油を引いた中華鍋のような鍋へと。
次々と具材が炒めるられて行くの。
調味料にトチナ粉が入っとるんだが?
これ、絶対に美味いじゃろうがぁっ!
食いたいわいっ!