ほろ酔いで帰宅しましたぁ、ちと、ちとだけ、アチラをさ、ダメ?
で、味噌鯖定食で焼酎のお湯割りを飲ってから帰る。
ほろ酔いで帰宅して、風呂へと。
上がった後は寝るだけなんだが、アチラは、どうなったんだ?
明日は仕事だから、今から長時間視聴する訳にはいかないが、ちょっと気になるかな。
ヘアバンドを装着して軽く視聴をしようと。
『今からの視聴は、明日を考えるにお勧めできません。
それにダリル殿は里へ戻られ、里長へお会いになった後で帰宅されました。
狩った獲物の代金と、レテラが横領したダリル殿の代金分を受け取り、明日、里長の家へ来るように告げられただけですね。
食事は、本日狩った獲物を焼いた品となったようです。
まぁ、わざわざ見る必要はないでしょう』
そう諭すように告げられるとなぁ。
しかしだなぁ。
ダリルさんが食べたと言う異世界飯って、ちょっと興味あるかも。
どんな料理だったんだろ?
『いや、マスターが気にする程とは。
単純に狩った獲物へ、森で採取した草や木の実を塗り焼いただけですから』
ん?
それって、調理じゃね?
なんか気になるじゃねーか。
『マスター?
ふう、酔われてますね。
10分だけですよ。
場面をコチラで編集し、ダイジェストでお見せしますので』
了解、了解。
異世界飯って、どんなんかなぁ?
そう思ってたら、景色がアチラへと。
ん?
建屋の中か?
家っうか、小屋だな。
ダリルさんが、木の器で何かしてるようだ。
ふむ。
殻を割った木の実らしき物を複数。
乾燥させた草や葉もだな。
それへ生の草も加え、丁寧に擦り潰している。
『訂正します。
全てを一度に混ぜ合わせた訳ではありません。
擦り潰して混ぜる順序がある模様』
ほー
そんなんアンだなぁ。
それを肉へ塗りこんで、放置?
焼かんの?
『アレは味を馴染ませているのでしょう。
結構、手慣れていますねぇ』
次は芋か?
皮を剥き、コチラも擦り潰しているが、途中で岩塩を削り入れている。
木の汁と水を加えて練り、平たく伸ばし形を整えているな。
コレを囲炉裏に置かれ、炙られたことで熱くなった平たい石の上へ。
パンの代わりか?
芋パンらしき物を焼き始めると、ダリルさんは肉を切り分け始めた。
どうやら木を削った串に刺すようだな。
囲炉裏に端へと刺した肉串が、ジリジリと焼けて行く。
こらぁ、手間だし時間掛かりそうだな。
ん?
囲炉裏の自在鉤へ吊るしてあった鍋の蓋を開けてんな。
湯と根菜か?
それ以外にも、何かが入っているみたいな?
あや?
鍋から取り出しているが、箸ではなくトングみたいなヤツを使っている。
流石に箸はないかぁ。
しかし、取り出したのは、どう見ても骨なんだが?
いや、骨を煮てたの?
骨は食えんだろうに?
『あれは、出汁を取っていたみたいですね。
灰汁も掬っているみたいです。
いやぁ、何やら食事を作っているとは思って思いましたが、思った以上に本格的ですねぇ』
いやいや、思っていた異世界飯とチャウんやが?
っか、今度は味噌みたいなのを、溶かし入れてんぞ。
あれ、なんだ?
『いや、なんだと言われましても、なんでしょ?』
分からんのかぁーい!
『いや、無茶言わないでください。
異世界へアクセスした周辺は探れますが、異世界自体を理解している訳ではありません。
無数にある異世界の一つへアクセスしているに過ぎませんからね。
調べる時間もない代物など、分かるハズがないじゃないですか』
あー
言われてみたら、そうなのかも。
アドバイザーさんが優秀過ぎるから、なんでも出来るって勘違いしちまったぜ。
済まんなぁ。
『優秀過ぎるって・・・』
もしかして、照れてる?
このAIって、高能過ぎませんかねぇ。
しかし、食事の用意が整い食べ始めたダリルさんなんだが、淡々と食している。
傍目からは、美味いのか、不味いのか、全く分からんのだが?
くそっ!
アチラの味を知ることは、出来んのか?
ちと、悔しいです!