現れた一行、どうやら鍛治師さんが、混ざっておるようじゃぞ?
ロゼッタ嬢に問われたダリルさんがな。
「不思議なことを言うものだ。
君は深層狩人の依頼を受けて鎧を造ったのであろ?
なれば、俺が纏って何が悪いのかね?
この武具は師が深層にて狩った素材を、そちらへ託して造らせた品だ。
俺の旅立ちの祝いとして贈られた物だな。
ちなみに、俺も深層狩人だが?」
そうダリルさんが告げるとな。
「かぁっ!
コイツはスゲぇ。
参ったねぇ。
ロゼッタよぉ。
こん人は、間違いなく深層組だぜぇ。
大体、お前、こん人が気配絶ってた時に気付いてなかったろ?
俺でさぇ、辛うじて分かるレベルだからねぇ。
こんな凄腕が、そうゴロゴロしてるとは、思えねぇ。
しかも、トドマの旦那が見てた品。
ありゃあっ、鎧熊だろうよ。
見た感じ、不要な傷が全くねえ。
生半可な腕では、ああはならんだろうさ。
それ、アンタが持ち込んだんだろ?」
そう問われ、ダリルさんが関心したようにな。
「良く鎧熊と、分かったな」
「そりゃぁよぉい、分かるてぇもんさね。
おりゃぁ、コレでも鍛治師だからねぇい。
お嬢に付き合って狩人の真似事してっがな。
これでも職人の端くれさね。
素材の見極めくらいはねぇい」
なかなか癖のある話し方じゃの。
しかし、彼の言にて、ロゼッタ嬢も納得したようじゃて。
「ふぅ〜ん。
アンタが深層狩人なんだねぇ。
で、その深層組が、街に何用さね?」
そう問われたダリルさんがな。
「ふむ。
コレらの装備を造った職人に興味があってな。
特に矢を造った職人に会いたいのだよ」
そう告げるダリルさんを不思議そうに見ながらな。
「会って、どうすんのさね?」っと。
したらな。
「うむ。
どの武具も素晴らしかったが、特に矢が素晴らしい。
俺も自前で揃えるのだが、この品質には到底およばん。
叶うならば、造り方を教わりたくてな」
そんなことを告げるダリルさんをロゼッタ嬢が不思議そうにな。
「いや、アンタ狩人だろ?
なんで矢の造り方を習いたいのさ。
職人でもあるまいに」
そう告げられ、ダリルさんがな。
「いや、一応は職人の修行もこなしておるぞ。
里では一人前あつかいを受けていたからな。
それに矢は消え物だ。
ゆえに現地にて、己が作らねばならない時がある。
その際に、優れた矢を作れるならば、狩りも捗ろうと言う物。
ゆえに、造り方を知りたい訳だ。」
そんな話しを聞き、ロゼッタ嬢がな。
「ふ〜ん。
あくまでも狩りのため、って、訳かい?」っと。
それを聞きダリルさんがな。
「まぁ、そうだな。
俺は狩人なねでね。
親方方は、極めてはどうか?などと言っておったがな。
だが、俺は狩りなしでは生きられん男だ。
職人の技は素晴らしいし、尊敬もしておる。
だが、俺にとっては、狩りを行うための手段に過ぎん」
それを聞いて、ロゼッタ嬢が呆れたようにな。
「いやいや。
別に鍛治の技を身に付ける必要はないだろうさね。
買えば良いんじゃないかい?」
まぁ、至極当然な話しだはな。
「そう言う考えもあるな。
だが、深層へ挑むならば、そうはいかん。
容易く人里へ戻れる場所ではないのでな。
昔は師匠に、狩人は己が使う物は、己で得ねばならん。
ゆえに職人達に習いに行け、っと言われた時は、何を言っておるのか、意味が分からんかったものだ。
だが、深層へ至るようになってからは、己が武具をメンテし、かつ、造れることで、急場を凌いだ事がある。
他の技術でも、同様だな。
ゆえに、様々な技能を身に付けることは、己の生存率を上げるに等しいのだよ」
そう告げるダリルさんを、周りの者達が呆れたようにの。
まぁ、全てを己で完結しようとすればのぅ。
「かぁーっ、面白ぇヤツだなぁ、アンタ。
よっしゃぁ!
矢については、俺が教えてやろう。
ロゼッタ嬢も造れるが、弓矢についてはどう俺の方が上だ。
まぁ、武器については、腕前が並んじまったが、一応は、お嬢に鍛治を教えた一人だ。
それなりの腕はあるぜぇ」
ほぅ?
実は結構な腕前の鍛治師なのだろうか?
なにせ、ダリルさんが関心する出来の矢を造れるのだからな。