訪問予定の武具店、色々と問題がじゃなぁ。
そう告げるダリルさんへミハガ隊長がな。
「いや、ダリル様?
アナタはミッドガランド武具店へ用があったのでは?
揉め事の種を持ち込めば、色々と問題にならないかね?」
そのような指摘をな。
したらダリルさんがの。
「いや、出来たら鍛冶場を見せて貰えぬかと思ったりしたが、どうも雲行きが怪しい。
師匠は病に倒れていたため、信がおける者へ素材を託し、俺の武具作成を依頼したらしいのだ。
その出来は素晴らしく、師からの紹介状を元に訪ねようとな。
だが、取引先を蔑ろにするような工房が、まともな仕事が出来るのかね?
俺は無理と考えるのだが?
しかし俺の手元には、素晴らしい武具が届いておる。
それが解せん」
ダリルさんが、そのように告げるとな。
「あー、その、なんだぁ。
アソコの親方は身体を壊してなぁ。
今は後継を自認する息子が牛耳っておるのだよ。
元々、取引先とは弟子の一人が行っていたのだが、息子がシャシャリ出て来てな。
色々と揉めたことがバレて、交渉の場から外されたハズだ。
しばらくは大人しくしていたのだがな。
どうも深層狩人の武具を収めた武具店として、上から目線になっておるらしい」
あ、こりゃぁ、ダメなヤツじゃ。
その武具店とやらは、長くないかものぅ。
「ふむ。
で、ソイツの腕前は、どうなのだね?
いや、他に職人は?」
二人の顔を見て聞き直しておるな。
まぁ、お察しの通りなのじゃろうて。
「腕の良い職人が一人だけ残っておるな。
まぁ、親方が身罷れば去るであろうよ。
あの息子の下では、仕事をしたくあるまいて。
その内に潰れるな、アレは」
ミハガ隊長が困ったようにな。
「ふぅ。
ならば、訪ねる意味も無くなったな。
少なくとも、矢を造った職人に、矢造りを教わりたかったのだが」
3人が、そんな話しをしているとな。
「親父さん、納品に来たよ。
今日は猪とか熊だったんだがねぇ。
毛皮を買い取って貰えるかい?」
筋骨隆々の女性が店へと。
結構デカいな、をい。
ダリルさん並みの高身長じゃ。
女性の連れが数人ほど。
禿頭の大男、子供が一人に、若い女性が3人じゃな。
全員で六名となるにたいじゃ。
彼らは荷車を牽いており、荷台には猪に熊、狼などがの。
他にもウサギや鳥なども。
まぁ、全て解体されており、毛皮での判断じゃがな。
肉は袋に入っておるのかのう?
毛皮とは別になっておる。
他には野野菜や野草なども。
そちらは、別の売り先へ捌くのだろう。
品物を持ち込んだ彼女達へドトマさんがな。
「何時も済まんね。
アンタ方は解体して持ち込んでくれるから助かるよ。
どれ、品を見せて貰おうかね」
そう告げて、彼女達が持ち込んだ品を確認し始める。
その間を縫うように、ミハガ隊長がな。
「ロゼッタ。
ちょうど良い所へ来たな。
今、ミッドガランド武具店の話しをしておった所だ」
そんなことをな。
「はぁ?
よしておくれでないかい。
アタイはアノ店とは縁を切った身さね。
最後に身体が動かないオヤジの代わりに、深層狩人の武具を手掛けたがね。
あの品を横流ししようなんて画策しやがって!
まぁ、取り引きを持ち掛けられた相手が、深層狩人の品だと知り、即座にお上へ届け出たからねぇ。
尻尾切りで職人の一人が捕まったけど、弟の腰巾着で腕の無い輩だから、せいせいしたわさ。
あの件で、オヤジも店を諦めたみたいだし、後は知らないよ、アタイは。
散々尻拭いしたからねぇ。
我慢の限界さね。
絶縁して来たからさ。
公式に赤の他人さね」
うわぁ。
かなり憤慨しておるな。
「一つ聞いて良いか?」
唐突に、ダリルさんがね。
「うわっ!
何処から現れたんだいっ!」
驚くロゼッタ嬢。
「ちと気配を消しておったが、初めから居ったぞ」
苦笑しながらな。
で、ダリルさんを認識した彼女が驚く。
「アンタが纏っている鎧は、アタイらが造った鎧じゃないかねっ!
何処から手に入れたのさね!」っと。
いや、ダリルさんが、依頼元の深層狩人と気付かんか?
どうなっちょるんじゃろか?