ダリルさんの師匠は人造種?いや、アレは、鬼じゃろ!?
「毛皮の卸し加工は、ココがお勧めですな」
そう隊長がな。
したらな。
「ミハガ隊長。
イキナリ店先で、どうしたんです?
まだ任務時間では?」
店主らしき男が出て来て、呆れたようにの。
「おお、ドトマ。
ちょうど良い所に」
「なんですかい?
気持ち悪い」
「気持ち悪い、とは、なんだっ!
失敬な。
いや、コチラのダリル殿の案内をしておってな。
森奥里の狩人でな。
いや、深層狩人と告げた方が分かり易いか。
なんと、ガウランド様のお弟子さんらしい」
そうミハガ隊長が告げると、ドトマさんが驚いてな。
「な、なんと!
深層組の狩人!?
っか、ガウランド様ぁ?
いや、旦那ぁ、ありゃぁ、御伽話なんじゃぁ?」
そがぁなことをの。
いや、皆が皆、御伽話との認識なんじゃな。
『それは、そうでしょう。
個人が国を意図的に崩壊させたなんて、どう考えても有り得ませんから。
まぁ、事実ですから忘れさられずに伝わっていますけど』
まぁ、そうだわなぁ。
しかし、儂らの世界ならテロリストとして指名手配なのじゃが?
良く無事に里へ戻れたものじゃて。
『ガウランド殿ほどになれば、通常の者では相手になりませんから。
しかも隠密に優れ、衣食住は全て森にて単独取得可能です。
こんな者にゲリラ戦を挑まれたら、堪りませんね。
それに写真などは無い世界です。
似た様相の者も居ますから、彼を特定するのも困難。
まぁ、捕まらないでしょうね』
ううむぅ。
あの世界では、テロし放題と?
『いえ、ガウランド殿やダリル殿と同クラスでないと不可能かと。
普通の者ならば、流石にに捕えられますよ?』
まぁ、そうじゃろな。
じゃないと、統治など出来まいて。
っと、アチラの話しは?
「ふぅ、ガウランド様の話しを信じん輩が多くて困る。
私は実際にガウランド様と会っておる。
キサマの先代は、ガウランド様から毛皮を卸して貰ったことも有るのだがな」
「・・・もしかして、巨人さん?」
おや?
もしかして?
「ほぅ?
覚えておったか。
初めてガウランド様と会った時は、怯えて大泣きしとったなぁ。
まぁ、あの方は普通にしとられるだけでも威圧感があったでな」
ニヤニヤしながらの。
「い、いや、その。
アレは、子供の頃の話しですから。
しかし、あの伝説の方が、巨人さんでしたかぁ」
そう、遠い目での。
「ふっ。
最初は怯えておったのに、菓子を貰った途端に懐きおったのだったな。
あれから、ガウランド様が来る度に、巨人さん、っと纏わりついておったか」
懐かしげに告げておる。
そんなミハガ隊長へドトマさんがな。
「はは、懐かしいですな。
しかし、まさか巨人さんがガウランド様だったとは、全く気付いておりませんでしたよ」っと。
するとダリルさんがな。
「くくくっ。
巨人さんか。
確かに師匠はデカかったからなぁ。
ありゃぁ、普通の子供なら泣き喚くわなぁ」っと、おかしそうに。
さらにな。
「しかし、鬼顔で巨体を誇る師匠に、菓子を貰ったくらいで懐くか?
里人でさえ、師匠に気押される者が多かったのだがな」
いや、そんなに怖い人だったの?
『過去にガウランド殿を撮影したデータが残っていますね。
観られます?』
いや、怖いような。
まぁ、映像じゃしなぁ。
『では、映しますね』
はい?
え?
これ、人?
鬼じゃねぇかぁっ!
コワっ!
掛け軸とか、映画やアニメで、鬼を見たことがある。
あれ、美化されてたんだなぁ。
『いや、鬼では無いですが?
人造種ですが、一応は人です、よ?』
いや、そがぁに自信無さげに告げられてものぅ。
しかし、儂の世界で幼子が見たら泣くの。
いや、痙攣を起こすやも。
っか、儂が見ても十分に怖いのじゃが?
っか、ん?
あれ?
ダリルさん、ってば、この鬼に育てられた?
あれ?
この鬼が子育て?
うせ、やろ?
っか、ドトマさんが泣くのも当然じゃわい。
て、え?
この鬼に、菓子を貰っただけで懐いた、じゃ、とぉ!?
実はドトマさんも、強者じゃったのかっ!