異世界視聴は楽しいんだが、腹減ったん。
話しは付いたみたいで、これから里へ戻るみたいだ。
昼過ぎに届いた荷物を開封し、その侭で視聴を始めた訳だが、外は暗くなっているな。
今から食事の支度も面倒だし、幻送機には録画機能もあるらしい。
だから視聴を終えて食事へな。
シュウさんと出会った小料理屋へと。
何時もは数時間ほど居付く俺だが、今日は早めに切り上げるつもりだ。
異世界を覗いてみたいし、明日は仕事だしな。
まぁ、来年には定年であり、再雇用も断るつもりだ。
地元へと戻り、友人の仕事を手伝うことになっている。
話しを聞くと、かなり大変みたいなんだが、不効率な仕事を、なぁなぁでしている感じか?
身体を壊して窓際族となった俺からしたら、かなり緩い感じなんだが。
ブラックなんて言われても、全部署ではない。
一部は緩い部署もあるものだ。
まぁ、身体を壊し無理させれないが、辞められたら困るヤツが居る場所だがな。
俺は軽く5回死に掛け、百数十回ほど倒れている。
会社でな。
電車で倒れて、電車遅延させる常習犯でもな。
まぁ、鉄道会社経由で監査が入り掛け、慌てた会社へ今の部署へ移動させられ、今に至る訳だ。
今は定時帰宅のホワイトさん。
まぁ、身体を壊しているから、いつ現世退社するか分からんがな。
でも、早く帰れるようになると、何をして良いか分からんくなる訳で。
で、ぶらりっと出掛けてた小料理屋へと、居付くようにな。
そこでシュウさんと出会う訳だが、人生、何があるか分からんもんだよな、うん。
小料理屋へ着き、扉をガラリとスライドさせつつ、暖簾を潜る。
したらさ。
「えらっしぇっ!
おぅ、ターさんけぇ。
今日はどうするね?」ってさ。
そう、小料理屋『源』の店主である源さんがな。
あーっと、俺は多羅 総司と言う名でな。
苗字からターさん、って呼ばれてんだわ。
身罷ったシュウさんは、名前の秀李からシュウさんだな。
苗字の大若葉からだとオーさん?
呼び難いわっ!
しかも王さんが、常連に居るから被るしなぁ。
だから、シュウさん、っわれてた、ぞっと。
俺は何時もの席へとな。
「今日のお勧めは?」っうたらな。
「おうよ。
今日はなぁ、鯖の味噌煮かねぇ。
最近にしちゃぁ、良い品が手に入ったんでな、煮付けてみたよ。
コイツを定食にしちゃぁ、どうだい?」
オヤジさんが勧めるな、まぁ、良い出来だったんだろう。
日曜に刺身を頼むヤツはダメだ。
まぁ、例外はあるが、土日は漁師が漁を休む。
だから活きが良い刺身は食べられんからな。
だが、店の客が釣りへ行き、釣果を持参する場合がな。
まぁ、特別料理みたいな感じでのお裾分けだな。
これが例外な訳だ。
そんな訳で、冷凍物以外の刺身を土日に頼むヤツは、この店の常連には居ない。
まぁ、土日には、一部の刺身以外は注文お断り!って、デカデカと張り出されてんだけどな。
「なら、そいつを頼むわ。
後、ボトル残ってるよな。
ソイツを湯割りだなぁ」
「ターさんも湯割り好きだねぇ。
この時期だと、まだ水割りじゃねぇかい?」
確かに秋とは言え、外は相当な暑さではある。
あるのだが。
「なぁ、源さん」
「なんだね?」
「クーラー、効き過ぎじゃね?
寒いくらいだから、お湯割りが美味くなんだよ。
逆に冬は、水割りを氷入りで飲んでんだが、俺。
おかしくね?」
まぁ、暑い外よりはマシなんだが、キンキンに冷えた店内も問題だわな。
「いやなぁ、この温度じゃなきゃ客足減るんだわ。
店としても、この温度だとエアコン代がバカにならんから、本当は上げたいんだなねぇい。
で、だ。
実はな、ここだけの話しなんだが。
亡くなったシュウさんから、個別に買ったエアコンが秀逸でなぁ。
前のエアコン稼働費の、なんと100分の1以下なんだよ。
大概の客が、このくらいを好むから、何時も、この時期はエアコン代が痛くてよぉ。
参ってたんだわ。
シュウさんに相談したら、クーラー造ってくれてよぉ。
シュウさんには、まだ頼みたい品があったんだがなぁ」
おーっとぉ、源さんは、シュウさんの顧客だったんだなぁ。
初めて知ったわっ!