45 集中力の差
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「おっ、来たなユーリ!」
約束の時間より少し早く【晴天の四象】の活動拠点にやってきた俺を真っ先に迎えたのは、赤髪のポニーテールを靡かせる少女セレスだった。
彼女は先の不審者討伐以降、やけに俺と模擬戦をしたがり、毎日のように挑んできていた。
とはいえ模擬戦とは名ばかりで、実際にはお互いにかなり手加減した、技術を磨き合う場と言うのが正しいだろう。
彼女のような強者と剣を交えられるのは俺としてもかなり有難いが、セレスが何かと学ぶことはできているのかと少し不安になる。
そのことを先日、ティオと一緒にいる時に伝えてみたところ、
『はっ? 手加減? アタシは全力でやってるから、十分鍛えられて――』
『ちょっとセレス、空気!』
『――じゃなかった! もちろん、色々と学ばせてもらってるから気にすんな』
といった答えが返って来た。
何やら不思議な雰囲気だったし、気を使われただけのような気もするが……彼女から申し出てくる限りは、そこまで負担になっていないはず。
そう信じ、俺は出来るだけこの貴重な機会を活用することにしていた。
「それじゃ行くぞ!」
「ああ、よろしく頼む」
俺とセレスは同時に地面を蹴り、剣を切り結びあう。
激しい衝撃と斬撃音が辺り一帯に響く。
(いつ見ても、セレスの剣は迫力があってすごいな……)
感心しつつも、ただ圧倒されるだけではいけない。
俺は剣をぶつけ合う中で、なんとか学べることはないか意識を集中させる。
そして約30分後、模擬戦はひとまず終了した。
「はあっ、はあっ……今日もありがとうな、ユーリ」
「いや、こちらこそお礼を言わせてくれ」
セレスはたった30分しか剣を振っていないにもかかわらず、全力で息を切らしていた。
それほどまでの深い集中力を、このわずかな時間に注いでいたのだろう。
特訓に全力で励む彼女を見ていると、俺もまだまだだと実感する。
(きっと、一振り一振りの細部に至るまで課題を持って、全神経を集中させてるんだろうな……)
【時空の狭間】で修行していたころの名残か、俺はどこか時間は無限にあるものだと勘違いしている部分がある。
意識を切り替える必要があると、改めて実感する。
そう考えていると、
「あら、もういらっしゃっていたんですね」
「む。セレスだけユーリと楽しんでいてずるい」
「……おはよう、ユーリ」
残るアリシア、モニカ、ティオの三人が同時にやってくる。
どうやら約束の時間になったようだ。
俺は彼女たちに向けて告げた。
「それじゃ、今日もよろしく頼む」
こうしていつものように、活動拠点での時間が始まった。
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