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短編小説  作者: ま行
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どれだけやっていようとも

 事件を混迷を極めていた。どれだけ捜査を続けていても、どんなに人間関係を洗おうとも、次の手掛かりが出てこない、皆が諦めかけた時ある男が呼ばれた。


 その男はどんな難事件でもあっという間に解決してしまう伝説的な男だった。まことしやかに噂される程度の存在感だったのに、やっと目にすることが出来るとなって一同は興奮した。


 そしてその探偵は現れた。まるで小説に出てくるような手際と発想力で、次々に事件の解決の糸口を見つけ出してきた。そのどれもが事件に繋がる手掛かりで、洗い出せば洗い出す程に証拠が出てきた。


 皆その男を羨望の眼差しで見ていた。この華麗な手腕を見せられれば誰だってそうなるだろう、しかしこの事件の為に男を呼んだ上層部は違っていた。


 その探偵には悪癖があった。悪癖というよりは、生来の性格と言った方がいいだろうか、探偵は過剰なまでに性善説を信奉していた。


 どんなに決定的な証拠を見つけても、どれだけ犯人を追い詰めようとも、探偵はあなたは犯人ではないと言ってしまう、きっと自分の推理が間違っていたと言って何度も捜査をやり直してしまう。


 しかし探偵の実力は本物で、犯人を探れば探る程に言い訳の聞かない証拠が出てくる。それでも探偵はこう言って聞かない。


「あなたはきっとやっていない、僕が必ずあなたが無実であると証明してみせます」


 こうなってくるともう誰にも手に負えない、付き合わされる方も、捜査の対象になった犯人も、早く終わってくれと願うしかないのだ。この地獄のような時間が続くのを終わらせる為、上層部が手を回して無理やり事件を終結させた。


 探偵ばかりが捜査の終了に嘆き、犯人も捜査する刑事も大喜びだった。そして何故この探偵が重宝される事がないのか、身をもって知ることになるのだった。

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