愛を見つける旅
私は大きなリュックを背に世界中を旅して回っている、目的は唯一つ真実の愛を見つける為だ。
どんなに恵まれた容姿をしていても、どんなに恵まれた境遇にいようとも、真実の愛はそうそう見つからなかった。私が目的なのではなく、私に付随する要素が目的の男ばかりだった。
愛とはそんなものか?何でも手に入れられるだけの才覚を持つ私は、愛がその程度のものだとは信じたくはなかった。だからこそ私は旅に出て愛を探している、私にとっての本当の愛を必ず見つけ出して見せる。
そんな折に、空から光が降ってきた。一瞬の事だったし見間違いかもしれないけれど、私は気になって光が落ちた場所に向かった。
そこにいたのは一機のロボットだった。墜落の衝撃からか、所々が破損し電流がビカビカ走っている。機体の頭部についたモノアイが動いている所を見ると完全に壊れた訳ではなさそうだ。
「失礼お嬢さん、ここは地球か?」
「ええ、そうよ。あなたそんな格好で大丈夫なの?」
「問題ない、すぐに自己修復装置が働いて元通りになる。元々墜落時にある程度の損傷は想定していたからな」
ロボットの話の通り、損傷箇所はみるみる内に修復されていった。どうやらとても高度なテクノロジーが使われているみたいだ。
「あなた何処から来たの?」
「ここではない遠く空の果てからだ、あるものを探して旅をしている」
「探しもの?地球にあるの?」
「分からない、だから旅をしているんだ」
ロボットが探しているものに興味が出てきた。それに自分の境遇と少し似ているし、シンパシーというものだろうか。
「何を探しているのか聞いていい?」
「勿論だ、我は愛を探している」
「愛?」
「そうだ」
愛を探すロボットだなんて、ますます私はこのロボットに興味津々となった。一体どんな愛を探しているのだろうか。
「ロボットも何かを愛するものなの?」
「それを愛だと思ったのなら、この気持ちを誰が止めることが出来ようか。そうは思わないか?」
「中々ロマンチックね、でもあなたの言う通りかもしれない。私も愛を探しているの」
「そうか、目的は一緒という訳だな。どうだ?旅は道連れとも言うだろう、我と一緒に旅に出ないか?」
私はロボットの申し出を受けた。空から降ってきた光と一緒に旅をするだなんて、何だかとても特別で素敵だと思えた。もしかしたらこのロボットとなら真実の愛が見つかるかもしれない、そんな予感がした。
ロボットとは3日で別れる事になった。私はロボットからとても感謝をされたけれど、馬鹿馬鹿しい気持ちと虚しさで自暴自棄気味だった。
この出会いで私は自分のスマートフォンを失った。まあ、私からロボットにくれてやったのだから、失ったというのもおかしな話だが。
ロボットの探していた愛は、スマートフォンに話しかけると返事をしたり機能を使ってくれるAIだった。殆ど定型文が返ってくるだけのこの機能に、ロボットはすっかり魅了されたらしい。
愛の形ってそれぞれなのね、私はこの旅がまだまだ長く続きそうだと思って大きな荷物をまた背負った。




