表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
短編小説  作者: ま行
83/145

悪魔の苦難

 俺様は人々に悲しみを振りまく為に存在する悪魔だ、あらゆる手段を用いてどんな些細なことでも涙を流させる、それはもう恐ろしい存在だ。


 そんな悪魔の鑑である俺様にはある弱点があった。


 それは俺様が涙もろいという事だ、人々に悲しみを感じさせると同時に俺様もとても悲しくて涙が出そうになってしまう。


 しかし俺様は泣くことが出来ない、悲しみを振りまく悪魔が、悲しませた人を見て泣く訳にはいかんのだ。悪魔としての威厳にも関わるし、何よりもとても不可解な状況になってしまう。


 この前は危なかった。亡くなった飼い猫との大事な写真を、うっかりなくしてしまった飼い主に、こっそりとその写真を見える位置に置いてやった。写真を見つけた飼い主はそれはもう大粒の涙を流して泣いた。極上の悲しみを得られた。


 だけど俺様はその時うっかり写真を見てしまった。幸せそうな表情で写る飼い主に、うんざりしたような顔をしながらも仕方ないといった態度の猫、二人の関係性がありありと見て取れて鼻の奥がツンと痛んだ。


 悲しみを振りまく事に成功したものの、俺様も酷く悲しい気持ちになってしまった。何とか涙を堪えたものの、心の中ではとめどなく涙が溢れていた。


 悪魔というのも難儀なものだ、今度のターゲットは少し前に亡くなった飼い犬の思い出の品をさりげなく見つけさせてやらなければならない、想像しただけでも涙が出そうなのに、泣くに泣けない悪魔の性が忌々しい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ