腹の虫は夜行性
最近私はある深刻な悩みを抱えている。
それは体重の増加だ。女性男性問わず死活問題ではあるのだが、私も体型には気を使う内の一人だ。
最初は気が付かなかった。おかしいなと思ったのはお気に入りのスカートが少々きつく感じた事だった。
それからというもの私は体重の変化に敏感になった。朝と夜必ず体重計に乗り変化を確認する。すると朝の体重が昨日より増えているのだ、私が食事に気を使い運動を行うと、夜の計測では体重が落ちている。
しかしまた朝になると体重が昨日より微増しているのだ。訳が分からなくて苛立ちを覚える、しかし事実として体重は増えているのだ。
このことは私に多大なストレスを与えていた。行動を起こしている筈なのに、自分ではコントロール出来ない内に体重の増加が進んでいるのだ。
ストレスは万病の元になる、私は睡眠だけでもしっかりと取ろうと思い、出来得る限りの快眠方法を試してベッドに横たわった。
夜になり彼女はむくりと起き上がる。
無論彼女の体は眠りについている、今彼女の体を動かしているのは、腹の中で今か今かと待ち構えていた虫の仕業である。
腹の虫は彼女の体を操って冷蔵庫の扉を開けさせた。中にある食材を見回してなるべく高カロリーの物を選ぶと次々と取り出す。
彼女の体は眠りについたまま、腹の虫に操られて料理を始めた。その手際は普段の彼女とは比べようもなく達者なもので、出来上がった品々は一流レストランのメニューに並んでいてもおかしくない。
彼女は手を合わせてそれらを食べ始める。勿論眠ったままである。
彼女の腹に住み着いた腹の虫は、昼間はまったく動きがなく、夜間は活発に活動する。所謂夜行性の腹の虫なのだ。
彼女は何も知らず口に次々と料理を運んでいく、体重増加の原因は自分であるが、彼女に真実を知る由もなかった。




