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短編小説  作者: ま行
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修正

 長い人生の中で修正したいと思う事はいくつもある、あの時ああしていればこの時あれをしていなければ、そんなどうしようもならない事を悶々と頭の中で考えてしまう、ある男もその事に酷く悩んでいた。


 男の人生に特に汚点と言っていいものはない、所々小さな小さな恥を重ねてきているが、人生を大きく変えるような大事件を起こした事もなく、至って普遍的な人生のレールに乗り続けてきた。今の所人生に不自由な点はなく、何か困っている訳でもない、しかし男はその細かい細かい恥が気になって夜も眠る事が出来なかった。


 ある日男はもう我慢ならなくなって、とある研究をしている博士の元を訪れた。その博士は次々にへんてこな発明をしている有名人で、その発明品の中に男にぴったり合う物があった。


「博士お願いします。僕にその人生修正ペンを貸してください」


 男が頼み込んだ発明品は人生修正ペンと言って、一度だけ自分の人生の中で消したい事を消して好きな事を書き込む事が出来るという物だった。


「うーむ貸してやりたいのは山々であるが、この発明品はあまりにも危険な物であってね、そう簡単に使わせる訳にはいかないのだよ」

「しかしですね博士、僕はもう人生で起こしてきた様々な恥が気になって仕方ないのです。夜も眠れなくて仕事にも手がつかない始末、このままでは頭がおかしくなってしまいます」


 男があまりにも頼み込むものだから博士も仕方なく折れて、一つ条件を出してきた。


「そこまで言うなら使わせてあげよう、しかし君がどんな出来事を修正したいのかを聞かせてもらいたい、私がそれを問題ないと判断したのなら許可をだそうじゃないか」


 男は博士の言葉に喜んだ。そしてすぐにでも修正したい事を伝えようとしたが、一体どれを修正するべきなのかを悩み始めて、ついにはすっかり遅くなってしまった。


「取りあえず今日はもう帰って、一晩じっくり考えてからまた来なさい」


 博士にそう言われて男は家に帰って行った。そして大分時間が経ってから博士の元に来て言った。


「あれからどれを修正しようか迷いに迷って、どんな事にも手がつかなくなってしまいました。生活はガタガタ仕事もダメダメ体はボロボロ、博士僕は決めました。人生修正ペンを使おうとした過去を修正してください」


 博士は呆れてペンの使用を許可した。

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