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短編小説  作者: ま行
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夢オチ

 突然開けた場所にポツンと立っている。周りは真っ白で境目も見えない、距離感もまったく掴めず、自分の立ち位置さえよく分からない。


「おーい!」


 出来るだけ大きな声で叫んでみる。しかしその音が反響する事はない、壁が無いのだろうか、ますます不気味に感じる。


 ただひたすらに歩き続けてもいいものだろうか、何かの話で遭難した時にはその場を動かない方がいいと聞いたこともある。しかしこの状況は遭難と呼んでもいいものだろうか、いつの間にここにいて、どうしようもなく途方に暮れてはいるが、今の所何か不都合があるわけでもない、ただよく分からない場所にいるというだけだ。


 もう思い切ってその場から動いてみる事にした。目印になる物はなにもない、だからもう元居た場所には戻れないだろう。しかし、何も持っていなければ、何かが置いてある訳でもないので、何も問題はなかった。口笛を吹きながら陽気に歩く、別に陰気な気分でもなかったが、本当に何もない空間でいくら歩こうとも景色も変わらない、そうなると何でもいいから変化が欲しくなる。下手くそな口笛で流行りでもない曲を吹く、古かろうといい曲はいい曲だ。少し気分よくなってスキップしてみる。


 いい加減強がりは続かなくなってきた。ここがどこかも分からない、何をしても変化が無い、無駄に大きな声で息の続く限り叫んでみても、何も変わらなかった。もういい、誰でもいいからここから出してくれ、そう願っていると、突然ぴかっと眩い光が見えた。


 何もない場所で、唯一起こった変化だ。そこへ向かってひたすらに走った。どうした事かいくら走っても息も切れない、体も軽くて、まるで自分が風になったかのようだった。体の動くままに勢いよく動き続けていると、突然景色が一変した。


 その瞬間、すべてを思い出した。世を儚んで崖から身投げした時、気を失って夢をみていたらしい、さながらあれは走馬灯だったという訳だ。あまりに空虚で思わず笑いが込み上げた。しかしその笑い声が響く事はなく、その代わりに落ちて強く地面に打ち付けられたどしゃりと大きな音が響いた。

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