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短編小説  作者: ま行
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打ち出の小槌

 最近いい事がないなと、帰宅中にとぼとぼと歩いていた。とは言っても、特別悪い事があるわけではない、何だかそんな気なしにも、何かいい事がないだろうかと探してしまうのは人間の性だろうか、ため息は自然と出る。別に幸せが逃げようとも、幸せが自分の元に好き好んで来るとは思わない、だから出したい時にため息を出すのが、ストレス発散のコツだ。


 こつんと足に何かが当たる感覚があった。何かを蹴飛ばしてしまったか、そう思って足元を見ると小さなハンマーのような物が落ちていた。見た目はまるで、昔読んだ事のある昔話の挿絵に出てくるかのような小槌で、その小ささにおもちゃらしさも感じるが、槌に施された装飾は、どこか気品と豪華さを感じさせる。


「何だろうかこれは」


 手に取って見まわしてもそれが何なのかは分からない、拾ったはいいものの、扱いに困っていると、天からひらひらと一枚紙が落ちてきた。


「打ち出の小槌」


 そう一言記された紙を手に取ると、その小槌の正体がまさに昔話の打ち出の小槌だと判明した。そんなものが何故道端に落ちているのかは疑問であったが、取りあえず一つ試してみる事にした。


「お金が欲しい」


 ありきたりな幸福だが、金があれば取りあえず欲望を満たす事が出来るだろう、そう思って振ってみても一向に金が出てくる気配はない。


「お金が欲しい!」


 もう一言、語気を強めて振ってみる。しかしやっぱり出てくる気配はない、何だこれは偽物をつかまされたと思っていると、何やら頭上から物が落ちてくるような、空気を切る音が聞こえてきた。何だと思い見上げてみると、小銭がじゃらじゃらと空から落ちてきた。間一髪それを避けたものの、続いて落ちてきた物は金銭ではなく、金塊だった。当たったら無事では済まない、必死になって避けると、金塊は落ちて地面めり込んだ。


「安全が欲しい!」


 そう叫んで小槌を振ると、天から落ちてきたヘルメットが頭にがぽっとはまった。

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