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短編小説  作者: ま行
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瓜二つ

 ある双子の娘は本当によく似ていた。そっくり過ぎて両親でさえ見分けがつかない程であった。いたずらに笑っては自分たちはどちらだと質問して、両親を困らせる事が双子の楽しみであった。


 双子は成長しても瓜二つに育った。それはもうどちらも同じ人間かのように、性格やしぐさに至るまで、まるで同じに成長した。環境や、生活の違いで人格は大きく異なるというのに、双子はそっくりそのまま同じに見えた。


 どちらも美しく利発に育った双子は、男たちによく言い寄られた。男たちは愛をささやき、我が身を差し出し、双子の愛を勝ち取らんとした。双子はそのうちに、自分たちがよくモテるものだから、付き合う男を交換する事を思いついた。


 何せ両親にも見分けがつかない双子なのだから、所詮他人である恋人では、どちらがどちらか等見当もつかない、双子はそれぞれの彼氏と交互にデートし、それぞれに男達から貢がれていた。


 自尊心も満たせて、男たちからの好意の目もより多く得られるこの方法は、双子にとって天啓とも言える閃きであった。こうして瓜二つの双子は、知らずの内に男を手玉に取る悪女となった。


 しかしある時から、双子の姉が男の交換を拒むようになった。妹は当然面白くない、いままでやっていた事を一方的に取りやめられるなんて、たまったものではないと憤慨した。それでも姉は頑なに妹の要求を拒んで、ある男と恋仲になった。


 そうして妹はある企みを思いついた。姉の目を盗み、姉の彼氏と約束を取り付けて、しれっとデートに赴いた。彼氏はどこか違和感を覚えながらも、あまりにもそっくりすぎる双子の妹をついぞ見分ける事ができず。そのままデートをしてしまった。


 妹は姉をからかうだけのつもりが、その彼氏がとても好みであった。よく気が利いて、賢く、スマートになんでもこなす彼を妹は好きになってしまった。そうしているうちに自然と二人は夜の街に消えて、一線を越えてしまった。


 姉は妹の行為に激怒した。姉は妹と瓜二つ、妹が彼氏と会えば一目ぼれすると分かっていた。だから頑なに会わせなかったのに、それが裏目に出てしまった。


 双子は大喧嘩し、罵声を浴びせ合った。どんなことがあってもいつも一緒だった二人でも、一人の男を分け合う事はできない事だった。そのうちに二人はつかみ合いになり、噛みついたり、ひっかいたりと、殴り合いを始めた。双子で喧嘩をしたことが無かった二人は落としどころが分からずに、無我夢中で相手を傷つけあって止まらなかった。


 そうして二人の喧嘩が終わったころには、もうどちらも動く事はなくなり、瓜二つの双子は同時に現れ、同時に世界から消えてしまった。

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