表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
短編小説  作者: ま行
50/146

昇降口

「ああもう急がないといけないのに、ついていないなあ」


 ビルのエレベーターの故障中という看板を見て、男は苛立ちを隠せず呟いた。上の階に用事があるというのに、そういう時に限って運が悪い、辺りを見回して昇降口を見つける。上るとなれば鬱々とするが、上がらなければ仕方がない。覚悟を決めて階段に向かって歩き始めた。


「ひぃひぃはぁはぁ」


 上り始めてすぐに、自分でも驚くほどに息が上がっているのが分かる。まだまだ若いと思っていても、体はそうでもないと警鐘を鳴らしているのかも知れない、これを機に軽くトレーニングでも始めようかと思い始めていた。


「やあどうも、大変だねぇ」


 ビルの清掃員が階段の掃除をしている途中で、男に気が付いて声をかけてくる。


「本当ですよ、まさかエレベーターが故障しているなんて知りませんでした」

「ちょっと前からねぇ故障していてねぇ、我々も大変ですよ」


 お疲れ様ですと声をかけて、男はまた階段を上り始める。最上階まではまだまだある。時計を確認しながら、体に鞭打って必死になって歩みを進める。


「間に合わなかったら大変だぞ、大目玉じゃ済まないだろう、上れ上れ」


 男は独り言で自分を鼓舞しながら上り続けた。ようやく最上階までたどり着いて、目的を達する事が出来た。


「やあ、間に合って本当に良かった。脅しがきいてお金が手に入ったってのに、時限爆弾を解除するのに間に合わなかったら大変な事だ。しかし人間やれば出来るものだ、間に合わなかったら上ってきた階段が、そのままあの世への階段に変わる事になっていた」


 男は疲れて震える足を落ち着けて、さあ戻るかと思った時に気が付いた。今度はこの高さから降りてかなければいけないのだ。今度計画を立てる時には、ビルのメンテナンスが行き届いているかのリサーチも怠ってはならないと、心の中で毒突きながら階段を下り始めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ