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短編小説  作者: ま行


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クリスマスツリー

 クリスマスにツリーを飾り付ける、一人暮らしで見る人も自分一人だが、この人工クリスマスツリーは幼い頃両親から誕生日のプレゼントで貰ったもので、それからというもの毎年飾り付けているからやめるにやめられない習慣になっている。


 自分としても楽しんでやっていて、誕生日プレゼントにクリスマスツリーをねだったのも他ならぬ私である。


 オーナメントは昔からの物を使い続けている、電飾は一人でピカピカしているのを見るのが虚しすぎてやめてしまったが、代わりに今年は天辺に飾る星を手作りしてみた。


 段ボールを形に切って金紙を張った簡単な物だが、いざ飾ってみると手作りしたという事実が充足感を与えてくれた。


 今年もクリスマスツリーを飾ることができた、クリスマスに予定もなくただ一人の部屋でケーキを食べただけで終わってしまったが、それでもささいな幸せを感じることが出来るいい日だと私は思う、無宗教の分際だが目出度い日をお祝いする気持ちに変わりはないのだから。


 私は満足感と共に眠りについた。




「という訳でおやっさん何とかならんかね?」


 飾り付けを終えてご主人が寝静まった夜中に、サンタクロースとツリーとオーナメント達は話し合っていた。


「そうじゃなあ、わしも何か贈り物をしたいとは思うが」

「やっぱりダメかなぁ」


 ジンジャーブレッドマン型のオーナメントは悲しそうに言った。


「やはりプレゼントは世界中の子供たちの物じゃ、わしは子供たちの夢と希望の存在、大人になった彼女においそれと贈り物する訳にはいかないんじゃ」

「そうか、いや無理を言ってすまねぇな」


 そうは言っても天使型のオーナメントも残念そうな色を隠せない。


「仕方ないわよ皆、こうしてサンタさんが来てくれただけでも嬉しいことじゃない」


 オーナメントボールの一つがそう言うと、ヒイラギもそれに同調し、他のオーナメントもそれに続いた。


「いや、納得できねぇっす」


 ツリー最上部に飾られた手作りの星形だけが、異を唱えた。


「おいらはこの中で新参者だ、しゃしゃり出るべきじゃあ無い、だけど姉さんは心を込めておいらを作ってくれた、子供の頃にプレゼントされたツリーの叔父貴や他のオーナメントの皆もずっと大切に使い続けられている、こんなにいい人な姉さんに大人だから何て理由でプレゼントが無いなんてのはあんまりじゃあねぇか」


 星形は捲し立てて声を荒げたが、その熱い想いに皆心を打たれた。


「あの娘への感謝の気持ち伝わったよ、星形の」


 ツリーはゆっくりと話始めた。


「しかしな星形の、忘れちゃならねぇのは子供たちの幸せだ、手前らじゃプレゼントが用意できねえからってサンタのおやっさんを呼んだが、相手方の都合を考えず手前らの都合だけ聞けってのは虫が良すぎるんじゃあねえか?」


 星形は文字通り図星をつかれて黙った。


「おやっさんすまなかった、だけど来てくれて手前ら皆嬉しく思っている、ありがとう」

「いやいやいいんじゃ、贈り物を大切にする優しいこの子に、何もしてやれないのはわしも同じじゃ」


 サンタクロースは肩を落として言ったが、その時に一つ閃いた。


「そうじゃこれならいい、この案なら彼女に贈り物ができるぞい」


 サンタクロースがツリーとオーナメント達に考えを話すと、皆大いに喜んだ、そしてサンタクロースは残った仕事を片付けるべくトナカイを繋いだソリに乗り、夜空を駆けていくのであった。




「お母さん、この荷物は何?」


 実家から届いた荷物を開けながら、私は母親に電話をしていた。


「それね、私とお父さんからのクリスマスプレゼントよ」

「えっ?」


 突拍子もない母の発言に驚いて箱の中身を見てみると、中にはキラキラと粉雪が舞うスノードームが入っていた。


「ちょっとどうしたのこれ?」

「ずっと前にクリスマスプレゼントに買ったんだけど、お父さん追突事故に遭ったじゃない?それでバタバタしてて仕舞い込んでたのを忘れちゃってたの」


 確かにクリスマスの日に、父が運転する車が追突事故に遭い大怪我したのを覚えている、幸い後遺症もなく全快したが生きた心地がしなかった。


「それで昨日不思議な夢を見てね、サンタの格好した人が私の手を引いてクローゼットに連れていくの、そこを開けてサンタが指差す場所に、あなたに見つからないように仕舞ったプレゼントがあってね、起きて夢と同じ場所を調べたらそれがあったのよ」


 本当に不思議な夢だ、現実と同じ場所に仕舞っていたなんて、そんなこともあるんだなと思った。


「ちょうどクリスマスだし、それはあなたへの贈り物だから、少し遅くなっちゃったけどメリークリスマス」

「お母さんありがとう、お父さんにもお礼を言っておいて、メリークリスマス」


 電話を切ると、私はスノードームを見てみた。


 スノードームの中には小さな可愛らしいクリスマスツリーがあり、舞う粉雪がとても幻想的ですごく気に入った。


 どうせならと私が飾り付けたクリスマスツリーの横にそのスノードームを飾ることにした。


 思いがけない贈り物に、体が熱くなるような嬉しい気持ちが心から沸き上がる、気のせいだろうがツリーやオーナメントも輝いているようであった。

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