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短編小説  作者: ま行
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マスコット

 この暑苦しいキグルミの中に入ってどれだけの時間がたったのだろうか、時給がいいバイトにつられて覚悟もやるべきじゃなかったと大後悔している。


 そもそもこのゆるキャラの設定は何なんだ、海老の天ぷらの尻尾のえびのてんぷらしっぽ君て何考えてるんだ。


 海老でいいだろ海老で、何でわざわざ料理しちゃったんだ、揚げてやる理由があるのか、ここ遊園地だぞ、海老の天ぷらをどう絡めるんだ、絡まらないだろ遊園地とはよ、絡んでもタレぐらいだよな、やかましいわ。


 後なんでその中でも尻尾だけなんだよ、どういいように受け取っても食べ残しだよ、何で尻尾だけ取ったんだよ、海老から奪うな尻尾をよアイデンティティーだろ海老の天ぷらの、頭や尻尾が無ければ口にいれるまで分からねぇだろ海老さんがよ。


 もう突っ込みどころしかないけど、遊園地である必要ないだろこのゆるキャラ、誰も寄ってこないよキグルミに、こんな苦しいのか人気がないって、さっきから熱気の汗よりも嫌な冷や汗が止まらないよ、手がないから可愛い動きも出来やしないよ、せめて手をつけてくれよ、何だよ足だけ出てるって、これだったら置物作ってくれた方が近付きやすいだろ、とち狂ったオブジェって方向性なら少しは光明が見えたかもしれないだろ。


 ここ海無し県なんだよ、なんで海老なんだよ、掠りもしてないんだよ海にもよ、バット振るにしても狙ってけよヒットかホームランを打つつもりで頑張ろうよ、色物狙いが透けて見えるだろ。


 予算がないにしてもキグルミ一人ポツンと置くのもどうなんだ、せめて仲間とか人員を配置しろよ、罰ゲームにしか見えないんだよ客から見れば、子供も気を使って寄ってこれないんだ、居たたまれない空気を読ませるなよ楽しい楽しい遊園地で。


 あとこの遊園地の名前なんで最後にシーってつけたんだよ、そこ近いのかよ海ないくせに、誰か一人でも指摘しなかったのか経営してるボンクラ共は、大人が雁首揃えた結果だと思うと恥ずかしいよ。


「えびのてんぷらしっぽ君こんにちは」


 うおおビックリした、子供がいつの間にか足元にいた。


「えびのてんぷらしっぽ君今日暑いから気を付けてね」

「この前暑くてやってられねぇよって言ってたもんね」


 おい前任者、百歩譲って喋るにしてもチョイスが悪すぎる、子供はなんて優しいんだ。


 俺に出来るのはせめて天ぷらの海老の尻尾としての務めを果たすだけだ、出来る限りの体の動きで元気であることをアピールしよう。


「わーえびのてんぷらしっぽ君すげー!」


 動くだけでこんなに喜んでくれるなんて、子供の感性はこんなにも人の心を救うのか。


「えびのてんぷらしっぽ君僕も頑張るからえびのてんぷらしっぽ君も頑張ってね」


 ぶんぶんと手を振って帰る子供に、精一杯の動きをつけて感謝を伝える、マスコットという仕事も中々悪くないかもしれないと思えた。




「君ねぇえびのてんぷらしっぽ君があまり動くんじゃないよ」


 前言撤回、潰れてしまえこんな遊園地。




 後書き


 書いてから知りましたが似たようなキャラがいました、決して真似た訳ではありませんが、問題があるようなら消します。

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