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短編小説  作者: ま行


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電脳世界の眠り姫

 近頃は、2Dや3Dアバターを通じて動画を作り、視聴者と繋がる配信スタイルがある。本人ではなくアバターを使い、あたかもアニメ漫画のようなキャラクターとリアルタイムでやり取りをしているような楽しさが得られる。


 人気配信者が群雄割拠する戦国時代、美しき花から凛々しき星まで、現れては消え現れては消えを繰り返す生存競争の世界に、一際異彩を放つ配信者がいる。


 その名は電脳世界の眠り姫、その配信の最中、一言もしゃべらなければぴくりとも動かない、ただひたすらに眠る姿を映して配信を終える、名もなき配信者である。


 電脳世界の眠り姫というのも、視聴者がつけた勝手な名称であり、この配信者には名前がない。ただひたすらに眠り続けるその姿を眺めるは、美しく可憐といえども、退屈極まりないように思える。


 しかしこれが大いに流行った。何が流行るか分からないのこの世界だが、ただひたすらに眠り続ける姿を映す配信は、多くの視聴者を惹きつけ、多額の投げ銭を集めた。


 何が起こるわけでもない、ただ眠っているだけ、それなのに、視聴者は今日こそ何かが起こるのではないかと期待をする。自分が投げた金とコメントに反応を示すのではないか、いや、面白いコメントにこそ反応を示すのではないか、いやいや、思い切り荒らしてしまった方が音を上げて反応するのはないかと、様々な憶測が飛び交った。


 眠り姫は寝ているだけ、それを眺める人たちは、この眠り姫を起こす王子様にならんと精を出す。眠り姫の美しい姿は、人々の想像力を掻き立て多くの二次創作が生まれた。眠り続けるという不可思議な設定が、彼女に様々な物語をつけた。


 憶測、流言、希望、願望、眠り姫に惹きつけられた人たちは、己の欲のままに各々の眠り姫像を作り上げた。ただ眠っているだけなのに、何の反応もないというのに、電脳世界の眠り姫は、多くのファンを作った。


 眠り姫は今日も起きない。この姫を起こす王子様になるのは誰なのか、人々は今日も、彼女の眠る姿に思いをはせるのだ。

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