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短編小説  作者: ま行


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花を摘むロボット

 一つ摘んでは籠に入れ、もう一つ摘んでは重ねて入れる。ロボットは、野に咲く花をひたすらに摘み続けていた。


 籠一杯になると、ロボットは頭からぴこぴこと音を立てて、がしょーんがしょーんとぎこちない歩き方で家に戻る。


 集めた花を丁寧に処理をして、ロボットは花束を作る。アームは旧式で細かい作業ができない、だからいつも、積んできた花は傷ついてしまっていたり、花弁が取れてしまっているものが多かった。


 それでもロボットは懸命に花束を作る。そうプログラムされているからと、言うのは簡単かもしれない。だけど、ロボットはそれをもう百年は続けていた。繰り返し、繰り返し、ただひたすらにだ。


 そうして作られた花束は、自分を製作してくれた人のお墓に供えられる。それはプログラムされた行動ではない、ロボットが自発的に思い付いた行動だ、人の真似でも、ロボットからそうしたいと思い付いた行動だ。


 そのロボットは単純作業に従事する目的で作られた。だから本当に簡単な軽作業しかできない。それでも製作者は、そのロボットを愛し、古くなっても、壊れても、何度も直して使った。ロボットは、失敗して怒られることもあったが、小さな成功を褒められることが嬉しかった。


 もはや褒めてくれる人はいないが、ロボットは花を摘んで、花束を作る。そしてそれを、愛する製作者の墓に供えるのだ。毎日、毎日、それを繰り返す。




 ロボットの製作者は、テラフォーミングの研究に生涯を捧げた人であった。孤独な人であったが、人を愛する人であり、決して人が住める星にはならないと言われていた星の環境を、花が沢山の生える自然豊かな星に変えた。


 その功績は大いに称えられ、博士は表彰を受けたが、豪華な暮らしは好まず、自分が豊かな自然に作り替えた星の辺境で、自分の作業を手伝い続けた健気なロボットと一緒に過ごした。


 博士の墓には、今日も不細工な花束が沢山供えられている。

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