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短編小説  作者: ま行


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ケーキ

 誕生日に食べるケーキが好きだ。どうしてケーキを食べるのか、何も知らないままだったけど、お祝いされながら食べるケーキは何よりも美味しかった。


 しかし特別にケーキが好きという訳ではなかった。むしろ甘いものは苦手な方で、普段はケーキどころかお菓子もあまり食べない。どちらかというと辛いものが好きな辛党だった。


 でも誕生日ケーキだけは特別だ。その日だけはいくつケーキを食べても飽きることはなく、何個でも食べられると思えた。生クリームに溺れてしまいたいと、そんなことを考えていた。


 だが誕生日翌日には、そんな気持ちはちょっとも湧いてこない。それどころか生クリームの文字を見ただけで胸やけする。塩辛いせんべいが欲しくなる。


 ある時、誕生日翌日にケーキを買ってみた。一口食べて酷く後悔した。馬鹿げた話だが、漬物を食べながらなんとかケーキを食べきった。美味しく食べるべきなのに、ケーキに申し訳ないことをしてしまった。


 どうして誕生日に食べるケーキはこんなに美味しいのか、不思議で不思議で仕方がなかった。しかしその意味がようやく心から理解できた日が来た。


 誕生日を祝う歌を歌い終え、我が子がろうそくの火を吹き消す。一本だけ中々消えなくて、何度も何度も息を吹きかけた。家族は笑って、頑張れと応援した。


「おめでとう!」


 その言葉と一緒にケーキを頬張る。皆が笑顔になる。自分も釣られて笑顔になる。ああやっぱり誕生日ケーキは美味しい、そう思う。


 誕生日ケーキは幸せを味わっているのだと知った。切り分けられた幸せを、分かち合いたい人たちと食べる。だからこんなにも美味しいのだと気が付いた。幸せは分け合うほど美味しくなる。そう気が付いた。


 切り分けて切り分けて、小さくなってケーキを一口だけしか味わえないとしても、きっと幸せは美味しいのだろう。分け合うことで幸せはスポンジ生地のように膨らむのだろう。自分が辛い時こそ、他の誰かの幸せを願う必要があるのだろう。愛を込めて平和ピースを分け合う、だから誕生日ケーキは美味しいのだ。

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