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短編小説  作者: ま行
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初雪

 常夏続く島に生まれ、雪というものを知らなかった。それがどんなものなのか知らないと、とても神秘的で素敵なものに思える。だから私は雪を見てみたかった。


 絵本に図鑑、お話の中や人伝、様々な形で雪の事を聞いてきた。だからこそ憧れは膨らんで、それを見たいという気持ちも大きく育つのかもしれない。


 夢を追い、故郷を離れるのは勇気が必要だった。住み慣れた場所を離れて何処か別の場所へと行く、それは自分を捨て去るような気分だった。


「あなたなら大丈夫」

「頑張れよ」

「離れていても一緒だからね」

「いつでも帰ってこいよ」


 私の背を押してくれた人たち、皆の応援が心に残っている。飛行機に乗り込む私を見送ってくれた。


 期待と不安、不思議な焦燥感で脈拍が早くなった。電車に揺られながら思う、このドキドキが今日だけのものなのか、それともいつまでも続くのか、何だか緊張してきた。


 ふと気がつく、気の所為かなともう一度身を乗り出して車窓を見上げた。小さくてそれがそうだと気がつくのに時間がかかった。でも確かにそうだ。


「これが雪…」


 細かくて小さいけれど雪だった。住んでいる人にとっては何でもない雪だろう、だけど私にとってはこれが初雪、様々な意味で初雪なのだ。


 弱々しくてすぐ溶けてしまいそう、でもこれが初雪だ。見たかった雪だ。旅行く私を迎え入れてくれた雪だった。


 小さな結晶は目には見えない、けれどきっと美しい。あっさり見れて拍子抜け、だけど私は何だかきっと上手くいくなんて言い表せない自信をもらえた。


 雪は降る、細かく小さな雪は降る、やがてこの景色を見慣れても必ずこの気持ちを思い出すだろう。

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