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作者: かおり

夢で見たお話

ときどき見る夢は前世なのかもしれないですねw

降りしきる雪の中、誰かがドアを叩く

もう外は暗いのに誰だろうと

カンテラを手にドアを開けると

そこには近くに住む妹が所在なげに佇んでいた


聞くと旦那が帰らないのだと言う

それで、こっちに来ていないかと

私はいいえ、と答えてから少し考えて探してみると約束した

うちには2匹のシェパードがいるからと

妹はほっとしたようにありがとうと言うと

また雪の中をとぼとぼと帰っていった

私は早速シェパードを連れて外へ出た


ここは父の持つ敷地の中

父の屋敷と私たち姉妹夫婦の家と

問題は2人ともの旦那を父が気に入らないということ

父の名を笠に着て偉くなった気でいるのだから

私の方は仕方ないにしても

妹の方は真面目でただ自信に乏しいだけなのに…

先ほど妹が帰った道を、父が車で横切っていく


結局、朝になっても妹の旦那は帰らなかった

あれほど真面目な人が理由もなく帰らないのはおかしい

妹はすっかりしょげている

私たちは父の住む屋敷に集まっていた

ここは父の敷地の中

そして父は私たちの旦那が気に入らない

まさか、とは思うけどやりかねないとも思う

けれど、私たちは何も言えない


相変わらずなのはうちの旦那だけで

楽しく周りの使用人とのおしゃべりに興じている

父の顔は、いつも通り険しい

おばさんが私に耳打ちする

以前、ホテルの立食会場で見たときも

この家の名を出して取り巻きを集めて浮かれていたと

それは本人が素晴らしいわけじゃないのに、とため息を吐く

もう潮時かもしれない

悪い人じゃないんだけど…


私はおばさんに、最近は家にも帰って来ないしと

もう流石に夫婦とは呼べない気がしていると打ち明けた

おばさんは、そうねと強く頷いて

本人も分かったほうがいいかもしれないわ、と言った

いきなり本人が偉くなったわけじゃないのだし、と

だから私は旦那にそのことを告げた

父の顔は少しも動かない

旦那は、誰に向かってそんなことをと口の端で嗤った

父は静かに、そうだなと言った

それがいいな、と

彼はこれから等身大の自分に戻る

名前を出しても誰も凄いとは言わない

取り巻きもしない、会食にも多分呼ばれない

それはこの家の威光であって、私たちの誰の威光でもない


妹は相変わらずうち沈んだ顔をしている

今日は使用人たちがずっと外を探している

きっともっとたくさんの人が彼女の旦那を探している

家を継ぐのは、謙虚な彼らがふさわしいように思う

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