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王子の暗殺 2

 少しづつ呼吸が戻ってきたころ、ドアが開いてエリックとジェラルドが入ってきた。抱き合っている二人を見てもジェラルドは顔色を変えない。エリックだけが少し目を見開いた。


「殿下。失礼をいたしました、申し訳ありません。」

 シャルロットはニコラから身を離すと立ち上がり礼を取った。

「構わないよ、座ってて」

 固辞しようとするシャルロットを座らせた。

「モーリア侯爵から聞いてるよ、令嬢はもともと病弱で人づきあいが苦手だからあまり社交もしていないと。慣れるために侯爵の手伝いをし始めたところだったんだって?」

「は?はい。」

 戸惑ったが、ジェラルドがそう説明したのだろう。

「殿下、誠に申し訳ありません。付き添いくらいは可能かと思いましたが、これくらいで倒れるようでは補佐はできますまい。もう少し療養させますのでこのようなご迷惑は二度とお掛けいたしません。お許しください。」

 頭を下げるジェラルドに

「かまわないよ。ニコラと特別な仲のようだし?」

 エリックはニヤッと笑う。

「エリック様!誤解ですよ、介抱していただけですので!」

「へえ、役得だな。ね、モーリア侯爵令嬢?」

「い、いえ。恐れ多いことでございます。ニコラ様とは以前から仲良くさせていただいておりまして、私のこの弱い体をよくご存じなのです。それでこのようなお手数をおかけしてしまい・・・お恥ずかしいことでございます」


 ニコラもシャルロットの不思議な力のことを知っていた。彼もシャルロットに救われたうちの一人だったから。だからシャルロットに感謝し、シャルロットの苦しみも理解して寄り添ってくれる大切な友人となった。ジェラルドもニコラとであれば外出を認めていたし、信用もしていた。

 ほかにあと二人シャルロットの秘密を知っているものがいて、その者たちとも交流はしている。隠し事をしなくても付き合える貴重な友人たちだが、その者たちとしか付き合わないことと、またそれがニコラも含めて素敵な男性たちだったから嫉妬ややっかみもあり、なおさらあらぬ噂を立てられることとなったのだ。


 落ち着きを取り戻したシャルロットはエリックに再び謝罪とおいとまの挨拶をするとジェラルドの執務室に向かった。

「すまなかった、シャルロット。もう大丈夫か?」

「ニコラ様が助けてくださいました。」

 子供のころは、それこそ一日中ジェラルドかアメリーに抱いてもらっていた。しかし成長するにつれて申し訳なく思い、長い時間相手を拘束することを控えるようになった。本当は今も温かさで包んで欲しいのはやまやまだったが、言えない。

(王宮だし・・・しかも執務中だもの・・我慢我慢。でも今日はお父様の部屋で休ませてもらおう。)


 抱きしめて包んでもらう時間が短くなると消化しきれなかった思いが募り、夜に恐怖に襲われるようになった。そういうときはいまだにジェラルドのそばにいく。昔はベッドで包むようにしてくれていたが、さすがに今は駄目だとジェラルドはソファーで寝ている。同じ空間に信頼し敬愛する父がいるだけでもシャルロットは安心できた。


「それで殿下の事ですが、乗馬中に矢を胸に受け落馬しました。おそらく毒矢だったと思います。・・・即死に近い状況かと」

「・・・そうか。」

「周りに木々が生えていて、殿下も弓をお持ちでしたわ。周りにも馬に乗った貴族や騎士がおりました。」

 ジェラルドは考え込んだ。

「・・・おそらく狩りの最中だな。よくやってくれた。これだけ状況が絞れたら回避できるだろう。ニコラ殿に狩りの予定を聞いておく、安心しなさい。」

とシャルロットの肩に手を置いた。


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