表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死を見る令嬢は義弟に困惑しています  作者: れもんぴーる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/51

ブトナ男爵令嬢 2

 それから3カ月がたち、勇んで家に戻った。

 しかし家族は誰も喜んではくれなかった。モーリア侯爵が籍を抜かなくていいと言ってくれていたにも関わらずすでに貴族の身分は既にはく奪されていた。


「どうしてですか?!私、いうとおりに罰を受けてきましたわ!」

「・・・。娼館で働いていたという醜聞がどう広がっているかわからないのか。娼館で働いていたお前は娼婦をしていたことになっている。」

「私は掃除や洗濯をしていただけです!」

「・・・こうなると侯爵家は狙っていたのだろう。侯爵令嬢を貶めたお前を彼らは許すことはなかったんだ。お前がいると男爵家は没落する、すでにお前のせいで傾いてきているがな。」

「そんな・・・ひどいですわ!」

「自分のしたことが返ってきただけだろう!それでも・・それでもお前は大切な私の娘だった。ここを出てこの手紙の人物のところに行きなさい。生活が立ちゆくよう頼んである。」

 親子としての情を男爵は捨てきれなかった。最後にできる温情を元娘に与えた。


「待って・・・待ってください!あの日・・・本当にあの女は男と過ごしていたのです!証明するために相手の男を探すつもりです。それまでお待ちください!」

「無駄だ。お前の言葉を信じたかった、だからお前がいない間に探した。確かに侯爵令嬢と連れ立って部屋に入った令息を見つけたよ。彼はもともと友人で、具合の悪くなった令嬢を介抱していたそうだ。」

「そんなはずはありません!きっとそういうように言われて・・・」

「だとしてもだ!そうまでしてなぜお前が彼女を敵視するんだ!関係がないことに首を突っ込まなければよかったものを!」


 その通りだった。シャルロットがどうであろうと自分には全く関係のない話だった。でも悔しかった。社交界に居場所がなかったような女が、有望株のシリルと婚約し、王家の覚えもめでたいなんて。だから真実の姿を暴いて、以前のように居場所を無くしてやろうと思った、そうすればシリルも感謝し自分に好意を持ってくれるはずだった。


 あの夜、シャルロットを襲おうとした令息がとっくに落ちぶれてしまったのも知らずに、代わりに証言したものは別の人間だったとも知らずに元男爵令嬢は打つ手を失った。


 少しばかりのお金と手紙を渡され、元男爵令嬢は屋敷を出された。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ