マスクの中は………
顔の皮膚とマスクの間のわずかな隙間。
そこは、熱帯雨林のようだ。
口から出る息は、沸騰したヤカンの如く、常に温度と湿度を与え続けている。
口の中と喉はカラカラに渇き、熱風が吹き荒れる。
風邪を引くとなおさら、温度と湿度は上昇し、それは鼻に刺激をもたらし、あっという間に、熱帯の湿地帯へと変わる。
その湿地帯の水分を取るため、白いティッシュの雪山が出来上がる。
雪は厚く積もってもなかなか温度は下がらない。
むしろ温度は上昇する。
鼻の頭は赤くなり、熱くなっていく。
いつ噴火をしてもおかしくない状態だ。
警戒レベル5。
マスクを外せば、そこは高原の様だ。湿地帯を吹く風は気持ちが良い。
だが沼地へと変化し池へ変化することもある。
そして、氾濫をして海へと流れ込む。
全て流れ込めば、スッキリ。
後に残るのは、爽やかな透き通った風。