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2頁目

 あまりにあんまりすぎる求婚を蹴っ飛ばして、ウィルの家に着いた。


 金持ってるのに、なんかボロ家なのよねコイツんち。




 比較的綺麗にしてあるベッドで、件の女の子が眠っていた。


 年の頃9歳ほど。


 金髪碧眼の綺麗な子だった。




 「………ねぇ」


 「なんだ」


 「これはさすがにアウトじゃない?」


 「何がだ?」




 なんかこう、法的なのとか倫理的なのとか、そんな感じのがヤバい気がするのだわ。




 ともあれ近くで見るとホントに綺麗な子ねぇ、毛とかサラサラだし、うっわまつ毛なっが。なんて眺めていると、女の子がパチリと目を開けた。


 バッチリ目が合ったわ。ええ。




 「………」


 「………あーえっと……」


 「………」


 「………お、おはよう?」


 「ほーぅらパパだぞーはっはっはっは」


 「アンタなんかキャラ違くない!?」




 無表情で胴上げすんな怖いわ!


 される方もされる方で無表情だから父子ともに無表情でわーいわーいしてるの、ちょっとどころじゃなく異様。




 胴上げもそこそこに質問をぶつけてみることにした。




 「えーっと…あなた、お名前は?」


 「………」


 「どこから来たの?」


 「………」


 「お母さんとかお父さんとかは?」


 「………」




 うーん、手がかりゼロか。


 空から落ちてきたというのが微妙に真実味を帯びてくるのがなんか嫌だ。




 うんうん唸ってると、ウィルが口を挟んだ。


 


 「空から落ちてきただろう?」


 「………」


 「安心しろ、ここは安全だ」


 「………」


 「当面の間、俺がお前の世話をする、異論はないな?」


 「………」




 微かに、微かにだけど女の子の首が縦に振られた(気がする)。




 「よし、決まりだ」




 決まってしまった。


 こうなるとウィルは動かない。頑固者というやつだ。


 だからといって私に何か出来るわけでもなかったが。







 「さて、差し当たっては呼び名を決めようと思うのだが」


 「ああもうなんでもいいのだわ…」


 「なんでもいいわけなかろう、この子の今後を占う大切なものだぞ」




 ここぞとばかりに真面目な顔しないでよ惚れるわよ。いや表情はずっと変わってないんだけど。




 「そうだな……花子、とかどうだ」


 「さすがにあんまりすぎるでしょそれじゃ」


 「むぅ…まだ言語に慣れていないからな…」


 「言語の慣れとかの次元じゃない!」




 聞きなれない語幹だけどそこはかとなくダメなのはわかる!!


 


 


 「では…………アリスなどどうだろう?」




 あら意外、まともな名前が出てきた。




 「ちなみに他にはハイジ、ベビー、ロリータなどの候補があって」


 「聞きとうないわ」




 ダメなのはわかった。そこはかとなく。







 「むっ、女神の天啓が下った」


 「またなんかきたの?」


 


 女神の天啓、この世界では時々あること……らしい。私は受け取ったことがない。





 「ふむ……女神曰く…」


 「曰く?」




 ウィルは言い放つ。




「この子はいわゆる『勇者』とのことだ」




 …………………。




 「はぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!?????」


 


 本日3回目の絶叫を私は禁じ得なかった。

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