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三十一文字物語  作者: 京屋 月々
第一章 雷乃発声
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第二十五話「天門の神速」

 聡詠館そうえいかんの奥の扉が、ぎしり、と音を立てて開いた。その音はなぜか、賑やかに話していたはずの、場内の全ての生徒の耳に入った。

 静寂の中、攻撃的な詠力えいりょくまとった者たちが聡詠館の床を踏みならす。


「来たな」


 福丸ふくまるがいつになく真剣な声音で囁いた。

 甲賀こうが率いる短歌部員たちは試合場の手前まで来るとおのずと停止し、藍色装束の者を前に、白色装束の者が後ろになるよう、数列に並び、正座した。

 歌装束を着た五名の生徒が甲賀に従って試合場へと上がる。甲賀の脇には茨刀うばらとが、元の藍色装束に身を包み、控えている。


 苑紅そのべには聡詠館の扉が開いたときから、甲賀が自分を睨んでいることに気付いていた。強力な詠力の群れに圧倒されまいと、視線を逸らさないよう気をつけながら、福丸の囁きにあごをぐっと引いて頷く。


「みんな、行こう」


 苑紅を先頭に、蒼空そら琴葉ことは、福丸が試合場へと歩みを進める。

 試合場のすぐ側で絡繰装具部からくりそうぐぶのメンバーからウタのレクチャーを受けていた籠持みこもちが、苑紅たちの動きを見て慌ててその後ろにつく。ガチャガチャと、慣れない甲冑で歩く金属音がやけに響いた。

 試合場へ上がると苑紅は、腕組みをして睨みをきかせている甲賀の正面に立ち、自分も腕組みをして睨み返す。

 甲賀は試験成立の条件である五名の部員が揃っているのを確認すると、苦々しげに顔を歪めた。


「苑紅。自分の感情をコントロールできないまま教師に手を上げたのみならず、本学の教育理念の不理解を晒すような短歌部への謀反。お前のやっていることは正義ではなく、愚の極みだ」


 甲賀は感情を噛みつぶすように淡々と話す。


「人間誰しも間違いを犯すことはある。ただ、間違いを認めず、学ばないことは恥だ。私は教育者だ。いかに、生徒が愚かであろうと」

「お話し中のところ、失礼します!!!」


 甲賀の湿っぽい口上を、太く潔い声が遮った。

 突然の大きな声に、甲賀はびくりと肩を震わせ、声の主を仰ぐ。

 ふんどしに腹掛け、ねじり鉢巻を身につけ、巨大な木槌を背に負った建立連こんりゅうれんの生徒が、バインダーに挟まれた書類を手に持っている。その後ろに、同じ服装の生徒たちが数名、いずれも真面目な顔つきで甲賀に対峙していた。


「結界強度検査の確認書にご署名を願います!」

「あ~……。え~と、判子でもいい?」

「結構であります!!!」


 甲賀はスーツの内ポケットから判子を取り出すと、印面にハァ~と熱い息を吐き、差し出された書類に押印する。


「これでいい?」

「有難うございました!!! 双方、ご健闘を!!」


 建立連の生徒たちはきびきびとお辞儀をし、踵を返して試合場を降りていった。 甲賀は判子を内ポケットにしまうと、仕切り直すように苑紅を睨みつける。


「あ~……、え~と……」


 言葉を探すような口振りに、茨刀がすかさず耳打ちをする。


「いかに、生徒が愚かであろうと……です」

「そう! いかに、生徒が愚かであろうと、道を正し、導いてやるのが教師の仕事だ。せいぜい今日はほぞを噛む思いをして、良き学びを得ることだな」


 そう言って甲賀は、フンと鼻を鳴らした。

 口上が途切れたのを待ち構えていたかのように、観客席のスピーカーから威勢の良い声が響き渡る。


「反逆者は許さない! 短歌の道はただ一つ! 短歌部顧問、甲賀教諭による貫禄に溢れたマイクパフォーマンス! さぁ! 間もなく始まります、第三短歌部設立試験!」


 声の主は、観客席の前に設置された長テーブルに座る男子生徒だった。据え置きマイクを握りしめ、唾を飛ばしながらの熱弁に場内が沸く。


「実況は私、工藝棟こうげいとう伝網連でんもうれん三年、柿本かきのもと 馬時うまときがお送りします。解説には同じく伝網連三年、週刊ジアマリから、編集長の野口さんにお越しいただいております! 野口さん、こんにちは」

「こんばんは」

「はい、こんばんは! さて、ついに倭歌やまとうた雲雀ひばり学園の短歌部一強時代に終止符が打たれるのか、運命の設立試験が始まろうとしております!」


 とうとう実況と解説まで登場し、試合場を取り囲む観客席から大きな歓声が響いた。

 苑紅はその様子を見て少し鼻白み、呆れた顔で溜め息をつく。そして再び、目に力を込めて甲賀を睨んだ。


「設立届の受理と、認定試験の開催、ありがとうございます。だからこそ、雲雀がもっと良い学園になるために、私達は、短歌部を変えます」

「フッ……! 笑わせるな」


 両者は数瞬、睨みあうと、振り返りながら視線を切った。

 両陣営が試合場を降り、火花が散ったあとのような熱っぽさだけが残る。

 そこに一人の女性が、茜色の袴から覗く、編みあげのブーツを鳴らしながら上がっていく。色白の肌、切れ長の目に筋の通った細い鼻。華やかな和柄の着物にも負けない端正な顔立ちをしたその女性は、一つに束ねたつやのある栗色の長髪を揺らし、試合場の中央へ辿り着くと、凜とした声を放つ。


「本日の試合の審判を務めます、長歌連ながうたれん教諭、茅野かやの 白逢しろあいです」


 白逢が頭を垂れる。


「白逢先生―! 今日も綺麗です!」


 観客席からはひと際大きな声援があがり、場内のお祭りムードはグッと高まる。


 「荒々し学びの園に咲き誇る白百合の香に癒されし我」

 「けがれなき誓いのうた君に捧ぐ 嫁にこないか ぼくのところへ」


 声援の中には恋文としか考えられないような原歌げんかを大声で詠む生徒たちも見受けられる。


「すごい人気だね……あの先生」


 琴葉が感心しながら観客席を見渡す。


「あっ……。蒼空くん、あれ……」

「ん?」


 琴葉の指差した方には、短歌実践の授業で教室中に強い緊張感をみなぎらせた角田かくた教諭が座っていた。観客席の中ほどで、角田はいつにも増して険しい顔をしており、硬く腕組みをして試合場を射るように見つめている。


「角刈りの角田じゃん」

「私、あの先生に見られてると思うと、余計に緊張しちゃうよ……」


 蒼空と琴葉が話していると、う~んと唸り声が聞こえてきた。

 床にあぐらをかいて、苑紅が何やら紙に書きつけている。


「苑紅さん、それなんすか?」

「ああ、メンバー表だよ。試合に出る順番を決めてるんだ」


 苑紅は紙を眺めたままぽりぽりと頭を掻き、小さく頷くと、みんなに見えるように紙を反転させた。


「ま、順当に考えてこの構成だろうな」


 紙を見て、琴葉が目を丸くする。


「わ、私が先鋒ですか!?」

「そりゃそうだろ。こういうのは後ろの奴ほど強いんだよ。だから一番手は任せたよ、琴葉」

「はいぃ……わ、わかりました……」


 順番が決まって急に緊張してきたのか、琴葉が不安げな口振りで答える。


「では、両大将はメンバー表の提出を願います」


 試合場中央にいる白逢教諭が両陣営に声をかけた。

 双方の大将である苑紅と衡也ひらなりが試合場へ上がると、歓声が起こる。

 苑紅は観客からの野次には応じず、まっすぐに中央へと進み、白逢にメンバー表を渡した。

 衡也は観客に手を振ってみせ、余裕の顔つきで中央まで来ると、懐からメンバー表を取り出し、白逢に渡す。それから苑紅と第三短歌部のメンバーを一瞥し、フフンとせせら笑いをすると、ひらりと背を見せ陣地に戻っていった。

 白逢はメンバー表の中身を確認し、二つ折りにして懐に入れる。


 苑紅が自陣へ下がると、ブツブツと呟きながら手を口に持っていく琴葉の姿が目に入った。


「人を三回書いて飲む、人を三回書いて飲む……」


 こりゃ、ダメだな……。

 苑紅はこれまでの歌合の経験から、緊張に呑まれたものに勝利はないと知っていた。衡也のせせら笑いを思い出し、心の中で毒づく。


「それでは、これより第三短歌部の認定試験を行います!」


 白逢が開催を宣言すると、ことさら大きな声援が聡詠館に響いた。


「先鋒戦! 第一短歌部・永田刈薦(かりこも)、第三短歌部・小野琴葉、前へ!」


 刈薦がすっくと立ちあがる。

 琴葉は呼ばれたことに気付かないのか、いつまでも手に人を書きつけては飲んでいる。

 苑紅は小声で琴葉に耳打ちした。


「おい、琴葉、立て!」

「はいいっ!」


 我に返った琴葉は、大きな声で返事をし、勢いづいて立ちあがった。


「声がでけぇよ!」

「はいっ!!」


 くすくすと嘲るような笑いが短歌部員からあがる。


「琴葉、リラックスな!」

「は、はいっ!」


 琴葉は蒼空の檄を受けると、ギクシャクした動きで試合場へと上がっていく。

 その様子を見て、観客席からは冷やかしのような歓声が飛び交う。


 「深呼吸 肩の力をまず抜いて 舐める苦渋も宝となりゆく」

 「困難に向かう小さな君の手を 強く握ることが出来たなら」


「おい、琴葉、かなり緊張してるんじゃないか」

「あれじゃ、勝負にならねえ……」


 試合場で刈薦と対峙する琴葉は、いつもより小さく見えた。

 刈薦が開始線に立つと、琴葉も思い出したように立つ。一礼をすると、慌ててそれにならって礼をする。見るからに試合慣れしていない琴葉は、体格でもウタでも勝ち目がなかった。


「先鋒戦……、開始はじめっ!」


 刈薦は後方に跳ね、詠力を纏いながら、イライラしていた。

 何だってこんなザコ女が俺の相手なんだ。

 腰に差した刀をスラリと抜き、中段に構える。ザコ女に勝ったところで何の評価にもならないだろう。だからせめて、一瞬で終わらせる、そう思った。


 試合場に上がるのも初めてだった琴葉は、所在なげにその場で身構える。

 熱い歌心、詠力を纏う、ウタの効果をイメージ……苑紅から教わった数々のエッセンスは、まとまりがつかないまま頭の中を錯綜していた。


「さぁ、始まりました! 第一短歌部の先鋒は短歌連一年の永田刈薦です。中等部では上位の成績を保持しており、左利きの刀を使った大技は短歌部内でも定評があります。一方、第三短歌部は短歌連一年の小野琴葉。小野は高等部からの編入のため、その実力は未知数です」

「中等部の成績上位者であれば、編入組に遅れを取ることはないでしょう。小野さんは基戎具もといじゅうぐすら持っていませんし、何より試合が開始しているのに詠力を纏ってすらいません。これは早い決着となりそうですね」


 苑紅は慌てて声をかける。


「琴葉! 詠力を纏え!! 短歌うたわれるぞ!」

 

 苑紅の声を聞いて、琴葉は余計に混乱した。歌心、詠力、歌のイメージという単語がバラバラに頭の中を駆けめぐる。訓練で鉄瓶の湯を沸かしたときの感覚は思い出せず、焦りだけが体を支配していた。


 刈薦は一向に詠力を纏う素振りすら見せない琴葉の様子にほくそ笑んだ。原歌すらろくに読めないと聞いていたが、そのような状態で試合場に上がろうと思ったのならそれは、勇気ではない。ただの阿呆だ。

―圧倒的な実力で愚かな異端児どもを駆逐しろ

 奥之院で雪嶺ゆきみねからメンバーに向けてかけられた言葉がよぎる。

当たり前だ。

 刈薦は左手に持った刀を下ろし、右の掌を素早く琴葉に向けて詠歌した。


 『戦火いくさびはプロメテウスの恵みの火 にくを貫きたままで焦がす』


 刈薦の掌の前に火で出来た五句体ごくたいが浮かびあがる。


「琴葉! 避けろ!」


 苑紅が悲鳴のような叫びをあげたとき、琴葉は音のない世界にいた。

 目の前で、刈薦の五句体が終息し、数本の火の槍になっていく様子を、スローモーションを見るように眺めていた。

 槍は温度の高い火でできているのか、透きとおるようで、その美しさに琴葉は、試合中だということも忘れて見惚れていた。炎の槍はスローモーションのまま、琴葉めがけて飛んでくる。


 いけない!!


 琴葉はすんでのところで横に跳ね、間一髪、槍を避けた。

 ドウッという轟音ごうおんが耳を焦がし、槍はそのまま試合場の床に突き刺さる。歓声が沸き起こり、琴葉は冷や汗を垂らした。

 床に刺さった火の槍は、強く燃えあがると黒煙となり立ち消えた。

 琴葉は焼けた床を見ながら、もう少しで自分があの床のように焼かれるところだったのだと思い、ゾッとした。

 刈薦は青ざめた顔の琴葉を見て、軽く鼻で笑う。


「お前、ウタもろくに使ったことのない編入組なんだろ。歌合ってさ、逃げてても終わらないって知ってた?」


 刈薦は口角を薄く上げ、琴葉に近付いていく。試合を観戦している誰もが、とどめを刺すのだとわかった。

 琴葉は慌てて身構えたが、やはり詠力を纏うことができない。

―やっぱり今の私の実力じゃ無理なのかなぁ

 蒼空にこぼした弱音は今や現実のものとなった。

 琴葉の心に諦めが生まれそうになったとき、蛍が光るように、ふと、蒼空の言葉が思い出される。


―戦う時は一人だけどよ。でも俺たちチームだろ?

―だから、琴葉は琴葉なりに頑張れば、大丈夫だ。


 そうだった。

 私は一人ではない。

 私はこれまでにも、たくさんの戦いを勝ち抜いてきている。

 琴葉の心に烈しい火が灯り、不安な気持ちが消えた。


 刈薦は、琴葉が突然、両手で頬を挟むように強く打ったので、予期せぬ動きに軽くひるんだ。そして、琴葉の顔から怯えが消えたことに、さらに苛立った。


「詠力一つ纏えないやつは、消えろ」


 刈薦は体に纏う詠力を強める。


「ヤバい!! 琴葉、逃げろ!」


 苑紅は悲痛な声をあげたが、実況解説は刈薦の勝利を期待し、観客席からはつまらない試合を見せられていることへの不満の溜め息が漏れ聞こえた。

 しかし琴葉は、どの声にも揺さぶられることなく、集中を極限まで高めながら左手左脚を少し前に出し、右拳を引いて半身に構えた。


「全身ガラ空きだぜぇっ!」


 刈薦は上段突きの構えを取り、詠歌した。


 『天門を神の速さで突く我の……』


 ドンッ


 重く、渇いた音が場内の空気を震わせた。

 刈薦の刀を持つ手がゆっくりと上がり、体ごと後ろに倒れていく。

 その影から現われた琴葉は、強く握った右拳を腰に引き、左手を前に下げ残心を見せていた。

 琴葉は中学時代、何千回と繰り返してきた正拳突きを、最適な間合い、最適なタイミングで、上段の構えでガラ空きになった刈薦のみぞおちに叩きこんだのだ。


 観客席、実況解説はおろか、第一短歌部の面々や苑紅たちまでもが、試合場に立つ華奢な女子生徒の姿に言葉を失っていた。

 その女子生徒は相手が戦闘不能になっているのをたしかめると、腰の帯の結び目辺りで両手を十字に切り、声を発する。


「押忍!」


 かけ声に合わせたように、大の字に倒れる刈薦のみぞおちが青白く光り、体中に青い鎖が伸びていく。


「勝負あり! 勝者、小野琴葉!」


 白逢が右手を挙げ、高らかに宣言した。

 観客席から、堰を切ったように大歓声が巻き起こる。


 「雛鳥のごとき細腕かに見せて 放つ一撃 至殺の鉄腕」

 「困難に打ち勝つ君の手が僕の か弱い手を握ってくれたなら」


 試合前、冷やかし半分だった歓声は、今や正当な実力に対する称賛の声に変わっていた。

 琴葉は開始線に戻り一礼すると、自陣に引き下がる。鳴りやまない歓声に琴葉は照れたような笑みを浮かべながら、小さくガッツポーズをして応えた。


 観客席の一角で試合を見守っていた天月あまつき絢爛装束部けんらんしょうぞくぶの部員たちからも、感嘆の溜め息が漏れる。そんな中、あごに人差し指を置いて考えごとをしていた愛蘭あいらんが、素っ頓狂な声をあげた。


「あっ! ようやく思い出したワ!」

「あら、部長、どうしたんですの?」

「琴葉ちゃん、どこかで見たことあるってずっと思ってたんだけど、あの突きを見てやっと思い出したのヨっ! 彼女、京西高校附属中学の極真空手部のエースだった子だワ!」

「京西って、あの超武闘派で有名な?」

「そうよ、インターハイで個人優勝したのヨ、あの子。附属高校にあがらないって伝網でんもうサイトでチラッと見たけど、雲雀に来てたのネ……」

「愛蘭部長、いくら格闘技好きとはいえ、中学生までチェック済みなんて、すごすぎですわぁ~」

「あらン、有望な子だけヨ?」


 愛蘭と紫乃しののやりとりを聞いて、天月がくすりと笑った。


「そんな子相手にあの距離でウタっちゃ、そりゃ丸腰も同然だね~」

「近接攻撃一辺倒で相手にウタわせないって戦法が得意な奴らは一定数いるけど、あの子の踏みこみの速さは格別だワ……。うふふ! アタシが見込んだとおり、将来が楽しみな子ネ!」


 愛蘭が嬉しそうに体をくねらせていたころ、第三短歌部陣営では、苑紅たちが琴葉への労いの言葉をかけていた。


「おつかれ琴葉! すげーじゃん!」

「なんという悪魔的な暴力……。神よ、お許しください……」

「琴葉! あんなに強いなら早く言ってよ!」


 苑紅は琴葉の頭をぐしゃぐしゃ撫でながら、マジですごいじゃん! と褒め称えた。


「ははは! ありがとうございます!」

「何だよあのパンチ! どうやったらあんな強烈な突きができんの?」


 素朴な疑問に琴葉は、立てた親指を見せながら言った。


「スポーツ推薦ですからっ!」


 何だそれ、と笑いながら、第三短歌部の面々は初戦での勝利を喜んだ。

 祝いの時間も束の間、審判による声かけで、次なる戦いの火蓋が切られようとしていた。



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